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あれからいろいろな準備が進んで……。
練習も進んで……。
少しずつ慣れてきたような実感はあるシンデレラ役。
やるなら真剣にやらないと、周りのみんなにも失礼だし、
第一これは超名作だから、制作された方々にも、作品ファンの方々にも失礼だ。
最初はそう言い聞かせて挑戦していたけれど、
慣れてきたような今は、楽しさも感じるようになっていた。
体育祭の借り物競争を一緒に走った、あの秋元くんと
シンデレラと王子様になる設定だという不思議な感情を纏いながらも、
役を精一杯やり抜こうと思えた。
そして後から知ったのだが、北人くんや乃々華ちゃんは、裏方に立候補したらしい。
……いや、なぜ。
乃「Aちゃんも大変なのに、任せちゃってごめんね？」
『ううん、これちょっとやってみたかったから。楽しんできて！』
乃「ありがとう……！」
可愛いなぁ……。
乃々華ちゃんは、体育祭、借り物競争で一緒に走ったあの3組の男子に今日誘われているらしい。
そのようなことを、小声で教えてくれた。
そして放課後。
掲示物の作成のために、乃々華ちゃんの代わりに残るのだが……、
『あれ、2人……？』
北「うん、乃々華から聞いてなかった？ みんな何か用事あるらしいよ」
『え、みんな？』
北「みんなして今日どうしたんだよ、……って感じだよね」
『いや、ホントに…』
北「まあ俺は、Aちゃんと2人なら、喜んで準備するけどね」
ホントにこの人は……！
『ってか、北人くん、なんで裏方に立候補したの？』
北「うーん……、
裏方からの下剋上のため？」
『……え？』
北「なんか良くない？ 下剋上って。凄いじゃん？」
どういうこと……？
今は分からないこの言葉の意味。
文化祭当日に知ることになるとは……。
夕暮れ…………
夕焼け…………
北「Aちゃん、ホントに毎日練習頑張ってるよね、凄いよ」
『ありがとう……』
2人きりのこの教室を、
赤くてあたたかい光が包んでいた。
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作者名：北極星ポラリス | 作成日時：2023年2月5日 13時
