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体育祭の余韻を感じる暇もなく、
既に文化祭の準備が始まっている。
「……では、役を決めていきましょう」
黒板には、クラス長の綺麗な文字が並ぶ。
シンデレラ……王子様……
うん、さすがに私は裏方かな。
「まず、シンデレラ役……」
「Aさんがいいと思います! で、俺が王子で!」
え、……?
私がシンデレラだと……?
絶対乃々華ちゃんとかのほうが……!
とにかく驚きすぎて声にならない心の叫び。
「なんで秋元が王子役なのよ」
「似合わな〜い」
秋「うるさいぞお前ら!」
笑いに包まれる教室内。
えーっと、
……私がシンデレラということについて、既読スルーですか?
「では、シンデレラ役はAさん、王子役は秋元くんということで。次の役を決めていきましょう。……」
クラス長!?
そんなに簡単に決定させていいの!?
大事な演劇の主役だよ!?
周りの音が聞こえないほどに、心の中で叫ぶのに、
それはなかなか声になろうとはしてくれなかった。
乃「何してんのよ、立候補したら良かったのに」
北「あのタイミングじゃ無理だろ……。
でも、Aちゃんがシンデレラなら、その相手は俺だけだよ。
終わったら絶対に取り返す。」
乃「えっ?」
北「名作シンデレラに、
この文化祭だけのオリジナルバージョン、付け加えるから」
そんな会話があったことを知らない私は、
大役への責任を感じていた。
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作者名:北極星ポラリス | 作成日時:2023年2月5日 13時