24 ページ24
「次のプログラムは、借り物競争です」
乃「Aちゃん、行こ!」
北「じゃあ、頑張れ!」
『うん!』
クラスごとに設置されたテントを出て、強い日差しの下へ。
見事に晴天となった体育祭当日。
「本日は、体育祭当日ということで……」なんて感じに始まった校長先生の挨拶に、寝そうになっていた生徒もいたみたいだけれど、いろいろな競技が始まった今は、みんな目が本気。
乃「どんなお題かな〜」
『気になるね〜』
スタートの合図の音がして、走り出す私たち。
お題を引くと、嬉しそうにしてすぐ3組のクラスのテントへと走っていった乃々華ちゃん。
え……、ちょっと待って……。
私のお題は、……背の高い人。
えっ、誰?
なんてしている間に、他の子たちも走り出す。
よし、まずはテント行ってみよ。
2組のテント前。
『あの……、背の高い人、いますか……?』
なんだその聞き方、と自分で突っ込んでいたとき、
「おい秋元行ってこい!」
秋「えっ……!」
「チャンスじゃねぇか!」
秋「……俺! 俺行く!」
……と、秋元くん(ってさっき男子が呼んでたから)。
確かに背が高い、180くらいありそう……。
まあ、走ってくれる人がいるだけ良かった。
『ありがとう……!』
テントのほうから視線を感じたが、
気のせいだと言い聞かせて走りきった後、乃々華ちゃんに話しかけられた。
乃「ねぇ、なんのお題だったの?」
『背の高い人……』
乃「あぁ、なるほど。だから秋元くんだったわけね」
『うん。乃々華ちゃんは? なんか男子と走ってたじゃん』
乃「えぇっ? それはまぁ……、へへっ」
『えっ?』
これはもしかして……。
もしかしたら……、あの伝説のお題……。
乃「内緒っ!」
『えぇーっ!』
絶対そうじゃん!
テントに帰ってくると、聞こえたアナウンス。
「次のプログラムは、本日の体育祭を締めくくる、クラス選抜メンバー対抗リレーです」
北「俺次だから、これ持ってて」
『え,,,うん』
北「見ててね」
『…うん!』
北「Aちゃんが見ててくれたら頑張れる」
少し大きくて温かいジャージをかけられた私の胸には、
夏の気候で暖まった風が吹いていた。
227人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:北極星ポラリス | 作成日時:2023年2月5日 13時