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「ではクラスポスターの作成に入ってください」
いよいよ始まった体育祭準備。
リレーやダンスなど種目の練習もあれば、こんなふうに掲示されるものを作ることもある。
そして今、私たちが取りかかっているのは、クラスポスターの作成。
作業を効率よく分担したことで、既に終わった下書き部分をなぞったり、色を付けたりする。
このポスターにはクラス全員が1つずつイラストを描いていて、
直前まで何を描くか悩んでいた私は、
思いつきでニコちゃんマークに旗を付けてハチマキを任せて、
まあ、可愛いんじゃない? これ。
そして、そのニコちゃんマークの横には、ブタのイラストが……。
なんか、可愛い……。
そして今は色を付ける作業。
事前に、ポスターデザイン担当の子たちが作成した、「ここはこの色で」っていうのが分かる、ポスター縮小版のようなカラーコピーの紙を見ながら進めていく。
この配色オシャレだなぁ……なんて関心していたら。
『あ…ごめん』
北「いや、俺こそ」
ただ手が当たっただけなのに、それだけのことなのに、
あの日、気持ちに気付いてしまった私は、どうしても意識してしまう……。
気持ちには気付いているのに、
気付かないふりをしたいのか、勇気がないのか、何かを恐れているのか、
自分でも理由はよく分からないけれど、
「好き」なんて言えないし、
それを、それとなく示す行動もできない。
今以上に進めない。
でも、これが自分だって、そう思い込んでいたから。
知らなかった……気付けなかった……。
自分を変えようとしなかったから、
勇気を出そうとしなかったから、
何もしなかったから、
後の自分自身を苦しめることになるなんて……。
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作者名:北極星ポラリス | 作成日時:2023年2月5日 13時