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9月1日。
朝7時50分。
玄関の鍵を閉めようとすると、これまで通り聞こえる足音。
なんだろう……。これだけでもう……。
北「おはよう」
『お…、おはよう……!』
なんでちょっと裏声になっちゃうの……!
北「え、どうした? なんか緊張してない?」
『いや……、そんなことは決して…!』
気持ちにハッキリと気付いたあの日から、確かに私は変だ。
こんなに意識しなくても……!
そう思うのに、
あの日の出来事が頭に浮かんできて……、
その上、もう少しで思い出せそうな出来事があるような気もして……、
どうしても意識してしまって……。
そんなことをずっと考えていたから、始業式の先生の話なんて、どんなことを言っていたのか全く覚えていない。
まあ、いつも通りなんだろうけど。
その後はなんとか正気を取り戻して。
乃「2学期はいろんな行事あるからいいよね!」
『そうだね、楽しみ!』
北「体育祭とか、文化祭とかね」
乃「体育祭とかさ、恋の予感って感じだよね!」
北「去年の借り物競争は凄かったよね」
そう、去年の借り物競争では、お題「好きな人」を引き当てた3年生の先輩が好きな子を呼んで、なんとその場で告白。
それで付き合う、なんていう少女漫画みたいなことが起こって、生徒たちは大盛り上がり。
先生までもがはしゃいでいて、まあなんと凄い伝説を作ったこと。
そういや「校長先生」なんてお題もあって、
校長先生、眼鏡をプカプカさせながら頑張って走っていて。
あの借り物競争、おもしろかったなぁ……。
きっともうすぐ準備も始まるし、ワクワクする……!
乃「今年もいい感じのお題あるかな〜」
北「何、乃々華借り物競争出るの?」
乃「うん! 北人は今年も出ないの?」
北「だって俺が出たら、みんな騒いでヤバイことになりそうじゃん」
乃「いや、何それ、モテ自慢かよ」
北「Aちゃんは?」
『どうしよっかな』
去年は出なかったけど、
今年は思いっきり楽しんでみるのもいいかも。
新しい発見とかもできるかもしれないし。
『出てみよっかな』
乃「おおっ! じゃあ一緒に頑張ろ!」
『うん!』
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作者名:北極星ポラリス | 作成日時:2023年2月5日 13時