レベル36 ページ38
ロー視点
重傷のAが帰ってきて４日が経った。
一緒に行動していた二人も確かに酷いやられようだったが、２日もすればピンピンしていた。
それからというものずっと眠っているAにまとわりついて、診療時間になっても離れねェもんだから思わずシャンブルズした。ベポもチラチラと覗いては、見ているこっちが可哀想に思えてくるほど落ち込んでいた。
「······いつまで寝てやがる。この寝坊助」
お陰でまた睡眠時間が短くなったというのに。
こっちの気も知らないでスヤスヤと眠るAを見下ろしていると、そんな言葉が無意識に溢れた。
出血多量でただでさえ危ないというのに、腕に埋まった弾丸を取り除いている最中、前に縫った傷口が開いてしまって更に出血してしまった。
考えたくはないが、Aの体はもうボロボロだ。
どこを見ても、消えない傷がちらつく。大半はおれ達がAと出会う前に既に負っていた傷だ。
どれだけ医学の知識を頭に叩き込んでも、治療を施しても、幼い頃に刻まれた傷は癒えることはない。それを理解した時、不甲斐なくて、らしくなく涙が零れそうになった。
この船に乗せたことも、あいつに手を差し伸べたことも後悔していない。
だが、この船に乗らなければ負うことの無かった怪我を考えると、間違っていたんじゃないかと思う時がある。
夜になってもう一度様子を見た時、ようやく目を覚ましたAに眠っていた間に起きた事を話すと、Aは笑って心底嬉しそうに自分は幸せだと言った。
「こんなに愛情を注いで貰って、篤い手当をして貰えるなんて、昔の私にはあり得ない話ですから」
そして後に続く「ごめんなさい」という五文字を酷く申し訳なさそうに言うから、伸ばされた手を力の限り握り締めた。聴診器から聴こえるAの心音が、生きていることを実感させる。
「······もういい」
闘わなくていい。いや、闘わないでくれ。おれが辛いんだ。
そう言えたらどんなに楽かと思いながらも、口から出るのは天の邪鬼な言葉だけ。
「早く治せ」
また眠りについたAの、おれよりも小さい手の甲に唇を寄せる。
この４日の内に気付いてしまった気持ちがこんなことをさせるのだろう。
これ以上失うのは懲り懲りだ。
もう非力な子供じゃない。今度は必ずおれが守る。
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水飴(プロフ) - なつみさん» 初めまして、コメントありがとうございます〜！作者の私情の関係にもよりますが、いずれはどちらも書かたら良いなと思っておりますので、お楽しみにして頂けたらと思います！ (2022年9月16日 0時) (
レス) id: 4efe73e95e (このIDを非表示/違反報告)
なつみ - どっちもみたいです!!!! (2022年9月15日 20時) (レス) @page25 id: dfa30137f5 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - さくにょさん» コメントありがとうございます！頑張ってどちらも書けたら良いなと思っています😌 (2022年9月12日 21時) (レス) id: 6a94704c3e (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - エース、コラさん・・。どちらも気になりますね・・！ (2022年9月12日 21時) (レス) @page25 id: 075aa05b66 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - グエグエさん» 初めまして、コメントありがとうございます〜！私のやる気があればいずれどちらも書くと思いますのでお楽しみに...！ゆっくりと更新頑張ります！ (2022年9月12日 11時) (レス) id: 6a94704c3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水飴 | 作成日時：2022年8月20日 16時
