レベル18 ページ20
「シャチー、ペンギーン」
とある島に辿り着いた私たちは、地形を把握するために歩いていたのだが、どうやらはぐれてしまったらしい。鬱蒼と生い茂る木々が視界の邪魔をして、ろくに前も見えない。
方向音痴というわけでもないのだが、かれこれ二時間は歩いている気がする。これだけ歩いたのだから見たことある景色ぐらい見えてもいい気がするのだが、一向に見ることができない。
「ベポー、船長ー」
叫んだところであちらには聞こえないし、来てくれる訳がないって分かってはいるけれど、一人で黙々と歩いていても埒が明かない気がした。せめてここの島民が気付いてくれたら助かるのだけれど。
流石に疲れてきたので、いい加減町でも見えてこないかと思いながら歩いていると、木々の間から海が見え始めた。帰ってこれたんだと思って力を振り絞って走ると、私たちが乗っている船は無く、他の海賊団の船だった。
(しまった······！)
一人でこんなところにいたら、多勢に無勢だ。流石に血気盛んな海賊を大勢にして勝てるほどの実力は持ち合わせていない。幸い、船の近くに誰もいないようなので、誰かに見つかる前にすぐさまここから離れよう。
しかしここから離れたとして、どうしたら船長の元へ帰れるかなんて検討もつかない。このまま会えずにこの島でポックリだなんて真っ平御免だ。頭を働かせた結果、常備している閃光弾を爆発させることにした。
本当は戦うときの為にとっておきたかったが、私がここにいるという目印に使えるものはこれくらいしかない。
どうか気付いてくれと願いながら地面に投げつけようとした瞬間、誰かが木の上から顔を覗かせた。
「ん？おまえ誰だ？」
「！？」
驚きすぎて声が出ない。何とか閃光弾は誤爆させずに済んだが、心臓があり得ない速度で鳴っている。木にぶら下がっていた私と同じ年頃の男の子は、地面に落ちた麦わら帽子を取ると私をじっと見つめてきた。
この顔、どこかで見たことがあるような。
男の子は私をくまなく見た後、つなぎに描かれているマークを見て興奮した様子で話しかけてきた。一気に距離を詰めて私の肩をガッチリと掴んで離さない。
「あー！！おまえトラ男の仲間だろ！！」
「は、はい······？」
じゃあトラ男も近くにいるんだな、と目を輝かせて言う彼には悪いけれど。
トラ男って、誰の事だろうか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 782人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
水飴(プロフ) - なつみさん» 初めまして、コメントありがとうございます〜！作者の私情の関係にもよりますが、いずれはどちらも書かたら良いなと思っておりますので、お楽しみにして頂けたらと思います！ (2022年9月16日 0時) (
レス) id: 4efe73e95e (このIDを非表示/違反報告)
なつみ - どっちもみたいです!!!! (2022年9月15日 20時) (レス) @page25 id: dfa30137f5 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - さくにょさん» コメントありがとうございます！頑張ってどちらも書けたら良いなと思っています😌 (2022年9月12日 21時) (レス) id: 6a94704c3e (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - エース、コラさん・・。どちらも気になりますね・・！ (2022年9月12日 21時) (レス) @page25 id: 075aa05b66 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - グエグエさん» 初めまして、コメントありがとうございます〜！私のやる気があればいずれどちらも書くと思いますのでお楽しみに...！ゆっくりと更新頑張ります！ (2022年9月12日 11時) (レス) id: 6a94704c3e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：水飴 | 作成日時：2022年8月20日 16時
