レベル15 ページ17
遊びに遊んだ日の夜、じめっとする暑さに寝苦しくなって部屋から出た。
甲板に出ると、これまた湿気を含んだ風が吹いてお世辞にも気持ち良いとは思えない。
(綺麗な月だな)
欠けること無く蒼白く輝くそれは吸い込まれそうなほど綺麗で、少し怖い。
私が産まれて初めて目にしたものが、今日のような蒼白い月の夜だった。赤ん坊の頃の記憶なのに、何故かこれだけは鮮明に覚えている。
周りには誰もいなかった。温かい両親の腕の中でも無かった。あるのは草木と土の臭い、水のせせらぎだった。冷たくて静かな場所に、ゆりかごに入った私は放置されていた。
その後は。その後は、どうしたんだっけ。
思い出そうとしても、出てくるのは嫌な思い出ばかり。
冷たい個室、壁に取り付けられた鎖、掌が入る程度の小さな窓、床にこびりついた血。
腐った食べ物を出されても、気晴らしに殴られても何とも思わなかった。それが普通だと思っていたから、嫌がる必要性がなかった。
ただ、それでもあの人の、肌にまとわりつくような手の感触と、笑い顔だけは＿＿＿＿＿＿
(考えるな、もう終わったことでしょ)
手をぐっと握り締めて我に返る。さっきまで火照っていた体はすっかり冷えてしまった。
自分の部屋に戻って寝なきゃいけないのに、布団に入ったところで眠れる気がしない。
何となく部屋に戻るのが嫌で、静かな船内を歩いていると、船長の部屋はまだ明かりが点いていた。
また徹夜をして医学書を読み漁っているのだろう。
好奇心旺盛なのは良いことだが、医者だというのならば早寝早起きの一つや二つしたらどうなのだろうか。
と、いつもなら思う所だが、今だけは起きていることに感謝した。
無性に誰かの存在を感じたいと思ってしまっている。
ドアをノックすると、入れと返ってくる。案の定ベッドの上に沢山の医学書を持ち込んで読み耽っている船長がいた。船長は私の方を見ると一瞬固まったような素振りを見せたが、すぐにいつもの表情に戻った。
「わざわざ徹夜を止めに来たのか？」
「普段ならそうしますけど、今夜は何も言いません」
その代わり、少し話し相手になってくれませんか。
船長はその言葉を聞くと読んでいた医学書を閉じて、私に近くに来るように言った。
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水飴(プロフ) - なつみさん» 初めまして、コメントありがとうございます〜！作者の私情の関係にもよりますが、いずれはどちらも書かたら良いなと思っておりますので、お楽しみにして頂けたらと思います！ (2022年9月16日 0時) (
レス) id: 4efe73e95e (このIDを非表示/違反報告)
なつみ - どっちもみたいです!!!! (2022年9月15日 20時) (レス) @page25 id: dfa30137f5 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - さくにょさん» コメントありがとうございます！頑張ってどちらも書けたら良いなと思っています😌 (2022年9月12日 21時) (レス) id: 6a94704c3e (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - エース、コラさん・・。どちらも気になりますね・・！ (2022年9月12日 21時) (レス) @page25 id: 075aa05b66 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - グエグエさん» 初めまして、コメントありがとうございます〜！私のやる気があればいずれどちらも書くと思いますのでお楽しみに...！ゆっくりと更新頑張ります！ (2022年9月12日 11時) (レス) id: 6a94704c3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水飴 | 作成日時：2022年8月20日 16時
