レベル39 ページ41
船から降りて、ひたすら走った。
息が切れるのも気にせず、無茶をするなと言われたばかりの体を気に掛けること無く、家があり、噴水があり、屋台が出ていたはずの街路を走る。
冷たい部屋、鉄格子の窓から覗く色に溢れていた街並みは、酷く荒廃して焼けた跡だらけの瓦礫の山に変わっていて。長年閉じ込められていたあの店すらも焼けたのか消えてしまっていた。
「＿＿＿＿＿＿＿！」
そして、街路の果て、絶壁に囲まれたようにしてそこだけ守られたように自然の緑が芽吹く広場には、数百にも上る墓石が建てられていた。
踏み締めるように一歩ずつ歩きながら、墓石の方へと歩いていく。
普通の人には聞こえず、見えない者の声が聞こえるようだ。墓石に彫られた字はお世辞にも綺麗とは言えないけれど、ひとつだって埃を被っておらず、苔も生えていない。
一つ一つ見ていくと、奥にひっそりと簡素な造りの家が建っていた。とても大工さんが造ったとは思えない、雨風を凌げれさえ出来れば良いとでもいうような出来の家。
そしてその周りには大量の白い石。墓石に使われているのと同じ石だろう。砕かれた破片と、形を整えられた石板が置かれている。
誰かが住んでいるのだろうかと家のドアを叩くと、静かにドアが開き、そこからお爺さんが出てきた。優しそうな顔のお爺さんは、瞳の奥に静かな哀しみを湛えているように見えた。その瞳が、私を見た瞬間光に溢れて、目尻から涙が零れた。
「だ、大丈夫ですか！？」
「あ、あぁ······神よ、感謝します」
私の気遣いを他所に、お爺さんは私の手を握って涙を流し、感謝するばかり。そして落ち着いた頃、私に投げ掛けた言葉は「よく生きていてくれました」だった。
家にお邪魔し、お爺さんの話を聞いた。
お爺さんは私の事を知っているらしく、今や亡国となってしまったここの唯一の生き残りとして、ここで生きていた人々の墓をずっと一人で建てていたらしい。
それでも自身の老いが邪魔をして、かつていた国民の一割も弔うことが出来ずにいると嘆いた。
どうしてそこまでするのかと聞くと、お爺さんは躊躇う素振りを見せた後、私が拾われた後にこの国で起こった事と、私の産まれる前の国について話始めた。
「墓石作りは、私なりの償いの気持ちを込めて始まった事でございます＿＿＿＿＿＿」
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水飴(プロフ) - なつみさん» 初めまして、コメントありがとうございます〜！作者の私情の関係にもよりますが、いずれはどちらも書かたら良いなと思っておりますので、お楽しみにして頂けたらと思います！ (2022年9月16日 0時) (
レス) id: 4efe73e95e (このIDを非表示/違反報告)
なつみ - どっちもみたいです!!!! (2022年9月15日 20時) (レス) @page25 id: dfa30137f5 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - さくにょさん» コメントありがとうございます！頑張ってどちらも書けたら良いなと思っています😌 (2022年9月12日 21時) (レス) id: 6a94704c3e (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - エース、コラさん・・。どちらも気になりますね・・！ (2022年9月12日 21時) (レス) @page25 id: 075aa05b66 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - グエグエさん» 初めまして、コメントありがとうございます〜！私のやる気があればいずれどちらも書くと思いますのでお楽しみに...！ゆっくりと更新頑張ります！ (2022年9月12日 11時) (レス) id: 6a94704c3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水飴 | 作成日時：2022年8月20日 16時
