No. 3 ページ5
傭兵視点
「A、起きてるか」
身支度を終え、朝飯を食べに行くついでにAの部屋を訪ねた。
慣れない環境で疲れて、まだ眠っているかもしれないし、第一Aは朝に弱い。
戦場でも眠りから覚める時はいつもぐずっていた記憶がある。
悲惨な現場での数少ない何気ない平凡な思い出だ。
ドアをノックしても、声を掛けても反応がない。
一言断ってから部屋に入ると、ベッドで布団を深く被って眠っていた。
「おい、A。そろそろ起きろ」
気持ち良さそうに小さく寝息を立てながら眠っているところを起こすのは心苦しいが、時間は刻々と迫ってきている。肩を揺らすと、呻き声に似た声を出してゆっくりと起き上がった。
眠たそうな顔は、以前見たものよりも大人びていて、乱れた髪のせいか多少艶やかにも見える。
記憶の中のAとは全く違い、別人のようだ。
「ん〜······おはよう······ナワーブ」
「ああ、おはよう。早く着替えろ、朝飯食いっぱぐれちまうぞ」
「それは、やだなぁ」
まだ眠いらしく、語尾も伸びていつもよりふわふわしている。
ベッドから起き、クローゼットの戸を開けるのを見届けてから部屋を出た。
(変わったんだな、あいつも)
胸がいつもより少し早く脈打つのは、何故だ。
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「やあ、おはよう二人とも」
食堂に行くと、当番のイライが既に作ってある朝食のプレートを差し出した。栄養バランスの考えられた、それでいて食べごたえのある量が盛られた朝飯は空腹の腹を五感を通じて刺激した。
「おはようございます、イライさん」
「ふふ、まだ眠たそうだねAは」
「これ本当にイライが作ったのか？」
談笑している間にプレートの中を凝視すると、そのお洒落な作りに違和感を覚えた。今までこんなにしっかりした朝飯を作っているところなんて見たことないぞ。
「失礼だなぁ、作ったよ。でも本当はこういうの作るつもりはなかったんだ」
どうやらパンとコーヒー、という簡易的なものを作るつもりだったようだが、栄養バランスが悪い、と止められ、エミリーやウィラ監修の元、プレートを作るはめになったらしい。
「A、初めての試合で不安があるかもしれないけど、心配しなくていいよ」
「？」
また何かを視たらしい。自信ありげにそう言ったイライは、不敵に笑った。
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水飴(プロフ) - 【湖の宝石】さん» 初めまして！旧作も見てくださってたんですか！？ありがとうございます···！お待たせさせてしまいますが、ゆっくり書いていきますので、旧作との違いを楽しんでいただけましたら幸いです！ (2022年6月23日 20時) (
レス) id: 6a94704c3e (このIDを非表示/違反報告)
【湖の宝石】(プロフ) - リメイク前の方も見ていたのですが、また見られるなんて嬉しいです！更新頑張ってください！ (2022年6月23日 7時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水飴 | 作成日時：2022年5月31日 17時
