No.1 ページ3
ギィ、と軋む音を立ててその大きな門は開いた。雪が降り積もる敷地内にそびえ立つ大きな居館は、古びた外装をしていたが、人が住めない程ではなかった。
雪を踏み締めて扉の前に立ち、深呼吸をした。
どんな人が待っているのか、どんな生活が待っているのか。楽しみな反面、怖くもあるけれど、きっと戦場よりはずっといい。ドアノブを一気に引くと、玄関には女性が二人いた。
麦わら帽子を被り、緑のエプロンを着けた可愛らしい女性と、一目で医者だと分かる女性。
互いに存在を認識した直後、間髪入れずに私は第一声を放った。
「初めまして、こんにちは。A·ルーカスと言います」
「ようこそ、私はエマなの!こっちはエミリーよ!」
「初めまして、ルーカスさん。分からないことばかりでしょうけど、私達がサポートするわ」
これからよろしくね。
そう言って伸ばされる二人の手をそれぞれ握る。二人ともいい人そうで安心するな。
「ねえ、Aちゃんは何て言う職業なの?」
「衛生兵です。これでも戦場を掻い潜ってきたんですよ」
そう言うとエマさんは驚きつつも何故か膨れっ面になった。可愛らしいので怒っているようには見えないけれど、私は何かやらかしてしまったのだろうか。
「敬語もさん付けもいらないの!これから仲間として過ごしていくんだもの、エマって呼んで欲しいの!エミリーもその方が良いと思うでしょう?」
「ええ、そうね。でもエマ、ルーカスさんにはルーカスさんのペースがあるから······」
「ははは······」
わーわーと話している二人に苦笑しつつ、周りを見回していると、背後から足音が聞こえてきた。かなり速く走ってきているのか、すぐにその足音はこちらまでやって来て、扉が勢いよく開いた。
「あら、サベダーさん。そんなに走ってきてどうかしたの?」
「え······?」
サベダー、確かにはっきりとエミリーさんはそう言った。
はやる気持ちを抑えて後ろを振り向くと、緑のパーカーを着た男性がこちらを見開いた目でで捉えていた。フードを被ってあるので顔はよく見えないけれど、あの目を私は知っている。
「_______ナワーブ?」
10人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
水飴(プロフ) - 【湖の宝石】さん» 初めまして!旧作も見てくださってたんですか!?ありがとうございます···!お待たせさせてしまいますが、ゆっくり書いていきますので、旧作との違いを楽しんでいただけましたら幸いです! (2022年6月23日 20時) (レス) id: 6a94704c3e (このIDを非表示/違反報告)
【湖の宝石】(プロフ) - リメイク前の方も見ていたのですが、また見られるなんて嬉しいです!更新頑張ってください! (2022年6月23日 7時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:水飴 | 作成日時:2022年5月31日 17時