No.11 ページ14
「ナワーブ、起きてる？」
まだ眠っている人もいるから控えめにノックをするも、中から彼の返事は聞こえてこなかった。
そういえば、ナワーブの眠っているところを見たことがない。
必ず私より早く起きるし、長らく戦場に身を置いていたからか、少しの音でも目が覚めてしまうらしい。職業病と言えばそれまでだけど、もう足を洗った彼には苦痛でしか無いだろう。
そっとドアノブを回すと、鍵が開いていたため中を覗くことが出来た。あまり物を置いておらず、小さな机とベッドが部屋の片隅に置かれ、ベッドの上には膨らんだ布団があった。
耳をすませると、小さな寝息が聞こえる。
(本当に寝てる······)
この目で見ているにも関わらず、ちょっと信じられなかった。この環境がナワーブを変えたのかもしれない。布団を被っていて顔が見えないけれど、ちゃんとナワーブは此処にいるって分かっただけで、安心した。
つい部屋に入ってしまったが、今ナワーブが起きたら少し気まずい。
さっさと部屋から出ようと、そっと眠っている彼から離れようとした時、背後から低い声が聞こえた。
「誰だ？」
少し掠れているのは寝起きだからだろう。不機嫌そうな、眠たそうな、何とも言えない声色が耳を擽る。後ろを振り返ると、下ろした髪をくしゃりとかきあげて私を見るナワーブがいた。
しかし本人はまだ夢の中のようで、目が虚ろだ。
「······A？」
「おはよう、ナワー＿＿＿＿＿＿」
最後まで言い切る前に、ナワーブは私の手を握るとまたベッドに身を沈めた。完全に寝惚けている。
さっきまでの不機嫌そうな様子はどこへやら、どこか優しい声が耳を刺激する。
「何だ、寂しいのか？手握っててやろうか？」
「違っ、ちょ、ナワーブ······！」
もうあの頃みたいに子供じゃないのに、流石にこの年でそれをされるのは恥ずかしい。
手を放そうにもあっちが握っているのでそれも叶わず、とうの本人は夢の中。
珍しい寝顔を見ているのにそれ所じゃない私は、小さな罪悪感を抱きながらナワーブを叩き起こした。
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水飴(プロフ) - 【湖の宝石】さん» 初めまして！旧作も見てくださってたんですか！？ありがとうございます···！お待たせさせてしまいますが、ゆっくり書いていきますので、旧作との違いを楽しんでいただけましたら幸いです！ (2022年6月23日 20時) (
レス) id: 6a94704c3e (このIDを非表示/違反報告)
【湖の宝石】(プロフ) - リメイク前の方も見ていたのですが、また見られるなんて嬉しいです！更新頑張ってください！ (2022年6月23日 7時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水飴 | 作成日時：2022年5月31日 17時
