少年 ページ2
だが二人はあっという間に鬼の首を斬った。
任務の鬼は此奴一人ではあったが、まだ他の所にも
鬼は居るかもしれない。
二人は街を一通り歩き、外れの山奥まで足を踏み入れた。
山を四半時程歩くと、家が一軒建っていた。
家に近付くにつれ生塵が腐った様な臭いが漂う。
二人はその酷い悪臭に耐えながら家の中へ入った。
家中血だらけでそこには死体が転がっている。
未だ十にも満たない様な子が二人と恐らく母親と父親。
死体には蛆が沸いている事と家中の血が乾いている事から、鬼に襲われてから数日経っている事が分かる。
念の為一つ一つ部屋を見回る。
二階に上がり一番奥の部屋を開けるとそこには一人の少年が窓から夜空を見上げていた。
煉「良かった!!君は無事だったのだな!!」
少年は振り返ったが何も言わず二人を見ている。
暫くして涎を垂らし始め、
「ゔぅぅ〜〜」と唸り出した。
何だこれは。まるで鬼ではないか。人間では無いのか?
二人は刀を構え、先程とは打って変わって戦闘準備に入る。
此奴は人間では無い。鬼だ。
だが一向に襲いかかって来ない。
少年は服で涎を拭うがそれでもまた垂れる。
喰うのを我慢しているのか?
今まで見てきた鬼は皆人間を見ると直ぐに喰おうと向かって来る。
こんな鬼は初めてだ。
すると少年は窓から身を乗り出し飛び降りた。
煉「待て!逃げるな!!」
直ぐに後を追ったが、少年は家の前に回り、
家族であろう死体がある部屋でそれを眺め涙を流し始めた。
二人はその姿を目にし少し戸惑った。
そもそもこの少年からはほんの少ししか鬼の気配が
感じられ無い。
だから煉獄も宇髄も最初は鬼だと気付かなかった。
二階から飛び降りたにも関わらず無傷なのも、鬼だからだ。とても高い訳では無かったが、骨が折れるなり何かしら負傷するだろう。
だがしっかりと着地し直ぐに走り出した。
到底普通の人間が出来る事では無い。
煉「君は…本当に鬼なのか?」
人を喰わない鬼など見た事も聞いた事も無い。
此奴は他の鬼とは違うのかもしれない。
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作者名:ひょうが | 作成日時:2020年6月1日 1時