私を守ってください！ (ページ9)

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理由ページ9

日高さんの後ろについて、長い廊下を歩く
私の歩くスピードに合わせてくれる日高さんの優しさが胸に染みる

A「あの」

日「どうした？」

A「なんで私なんかを助けてくれるんですか？来たばっかりなのに、なんでそんなにみなさん受け入れてくれるんですか？」

日「聞いてどうする？」

A「少し気になっただけで」

日「迷惑？」

A「そうじゃなくて、なんか守るとかどうとか申し訳なくて」

日「申し訳なくなんかないよ」

そう言うと、日高さんは立ち止まって下を向いた
後ろからでも、下を向いていても、その憂鬱な雰囲気は伝わってきた

そして悲しそうに笑った

日「昔、あんたと同じ境遇の子がきたんだ」

A「え？」

日「そいつもここに売られた奴で。女の子だったんだけど、俺ら結構仲良くてさ。でも琢磨様がそいつに手を出すようになって。俺らが必死に守ろうとしたんだけど」

日高さんが言葉を止める

A「守れなかった…」

そう言葉を続けると、頷いてしばらく悲しそうな顔で俯いていた
私と同じ子が来たってことは、
守れなかったってことは。

日「そいつは結局体を売って、借金を返した」

悔しそうな表情

その表情を見ていると
私を受け入れ、守ろうとしてくれた理由が
言葉なくてもわかった

私が下を向いていると
日高さんはくるっと私の方を向いて、うってかわって笑顔を見せた

日「行くよ。琢磨様がお待ちだ」

A「はい」

また歩きだす二人の足音
さっきの日高さんの悲しそうな表情が頭から離れなかった