1 ページ2
太宰のポートマフィア失踪から年月を重ねた。
Aも中也も成人し、齢22である。
「ええ、中也だけの半月任務?」
中原「嗚呼、10月の後半だから未だだ。」
「珍しいね、中也の単独なンて。」
季節は春。未だ若干の寒さが残り、時節穏やかに過ぎるこの季節もポートマフィアは物騒な単語が飛交う。
「何を狩りに行くの?」
中原「京都の闇組織」
組織、という言葉にAは顔を顰めた。自分も割り当てられていない事に納得いかなかった様だ。
「…私要らないのそれ」
中原「汚濁は使わねえよ」
だって、組織丸ごとひとつ殺るのに。とAは口を尖らせた。拗ねる場所が22のいい歳した女とは思えないが此処ではそれが違和感を感じないものなのだ。
太宰が姿を消してからというものの、中也の汚濁を使う機会は特段に減ってしまった。矢張りAの無効化異能だと汚濁形態の中也に可也接近する必要があり多少の怪我は付き物だからである。中也の汚濁も戦力だが、A自身もまた強力な戦力であるのだろう。
「ええ〜中也居ないと仕事したくないんだよなぁ」
中原「否、絶対しろよ。」
太宰の予言通り、Aは中也に驚く程に忠実に育った。
同い年だが、Aは頭が切れる割に不思議と少し幼い。中也の様な引き摺る役目は必須らしい。
その時、中也とAの自室をノックする音が響いた。
樋口「中井補佐。樋口です。」
「入れ」
先程の甘えたから一転。Aは目力が加わり、姿勢が正された。
時刻は夕方6時。
今日の任務の為に動きだす時刻になった為、樋口が迎えに来たのだろう。
樋口「お迎えに上がりました」
「了解。向かう」
あ、と思い出した様にAは中也に尋ねた。
「今日は幹部会議ですよ中原さん。18時半からです。」
中原「了解。帰ってこいよ」
"中原さん"
こう呼んだのは外に樋口が居たからであろう。Aのオンとオフは激しい。
「貴方の元に必ず」
そう応えたAは黒の外套を翻して
任務に向かった。
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:テオ | 作成日時:2017年9月6日 20時