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寝転んだままのAに近づいた中原はAをすぐに抱きかかえるかと思えば違った。
「…なんで。早く抱っこしてよ」
血塗れで気持ち悪いし、彼奴に色々触られたあとだから嫌なんだけど。とAは言葉を続けた。
中原は寝転んだままのAの上半身だけ起こして支えると目を合わせた。
中原「幹部補佐のAに、」
中原「…手前の口にした、後にも先にも無抵抗の接吻の相手って奴が俺だといいと願うのはマフィア幹部として可笑しいか。」
中原の真剣な目は何時も見ているが何時もの真剣さだけが中原の瞳に宿っているわけでは無かったのをAは知っていた。
「(熱が篭ってる)」
「中也」
中原「手前の事を意識していなかったと言えば嘘だ。前からずっと手前を意識してた。」
「うん」
中原「手前を光に戻してやることは出来ないが、黒のこの世界で光以上に幸せにしてやりたい」
「うん…でも、一緒に幸せにならなきゃ、なるならね」
中原「…好きだ。」
「知ってるよ、随分前から」
中原「俺も」
「好きだよ、中也」
中原「知ってた」
凄く、遠回りしたねと笑いどちらかともなくした接吻は
黒社会ぴったりの血の味だったがそれはとても甘く感じた。
「血」
中也「悪ぃ」
後、とAは言葉を続けた。
「その、盗聴器だれの」
中原「!?彼奴…」
「…?敵?それなら潰さないと」
中原「否、大丈夫だ。これは」
それは、太宰がよく使う型番だった。
中原「(遠回りしたけど、此奴は貰ったぞ、太宰)」
そう心で呟いて、盗聴器を捨てた。
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作者名:テオ | 作成日時:2017年9月6日 20時