【文豪ストレイドッグス】もう一匹の迷い犬(ストレイドッグ) Ⅱ (ページ9)

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第三十六話ページ9

田中(たなか)は目的(もくてき)地(ち)である場所(ばしょ)に行(い)く前(まえ)に社員(しゃいん)寮(りょう)の自分(じぶん)の部屋(へや)へ向(む)かった。

田中「却説(さて)…… 今日(きょう)はどうしようかな」

田中(たなか)は自室(じしつ)にある和風納戸(クローゼット)の扉(とびら)を開(ひら)き、中(なか)をまじまじと見(み)る。

中(なか)には色(いろ)、柄(がら)、大(おお)きさ、様々(さまざま)な衣類(いるい)が入(はい)っており、鬘(かつら)も数(すう)種類(しゅるい)入(はい)っている。

田中(たなか)はその中(なか)から、黒(くろ)い組服(スーツ)、黒(くろ)い長外套(コート)、黒(くろ)い手袋、黒(くろ)い帽子(ぼうし)、橙色(とうしょく)の鬘(かつら)を取(と)り出(だ)し、それに身(み)を包(つつ)む。

田中「あ、カラコン着(つ)けるの忘(わす)れるところだった」

田中(たなか)は「危(あぶ)ない…」と云(い)って、和風納戸(クローゼット)の下(した)にある引(ひ)き出(だ)しから青(あお)い色(いろ)のカラーコンタクトを取(と)り出(だ)し、着(つ)ける。

田中「よし、準備(じゅんび)万端(ばんたん)。あとは、声(こえ)だけだな……」

田中(たなか)は数回(すうかい)「あー」と声(こえ)を出(だ)して確認(かくにん)する。

田中「……それじゃあ、遊(あそ)びに行(い)くか。情報(じょうほう)収集(しゅうしゅう)なんて知(し)らない」

田中(たなか)は側(そば)に置(お)いておいた相互通信式構内電話(インカム)を耳(みみ)に着(つ)け、軽(かる)い足(あし)取(ど)りで目的(もくてき)地(ち)へ向(む)かった。