【文豪ストレイドッグス】もう一匹の迷い犬(ストレイドッグ) Ⅱ (ページ5)

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第三十三話ページ5

敦「谷崎(たにざき)さん、無事(ぶじ)でしたか！」

そう云(い)われると、谷崎(たにざき)は片手(かたて)を胸(むね)くらいの高(たか)さまで上(あ)げた。

国木田「与謝野(よさの)先生(せんせい)の治療(ちりょう)の賜物(たまもの)だな。谷崎(たにざき)、」

国木田(くにきだ)が「何度(なんど)解体(かいたい)された？」と訊(き)くと、谷崎(たにざき)の顔(かお)から血(ち)の気(け)が引(ひ)いた。

谷崎(たにざき)が「……四回(よんかい)」と云(い)うと、敦(あつし)以外(いがい)の四人(よにん)が「あー……」と哀(あわ)れみの声(こえ)を出(だ)した。

谷崎「敦(あつし)君(くん)。探偵社(たんていしゃ)で怪我(けが)だけは絶(ぜ)ッ対(たい)にしちゃ駄目(だめ)だよ」

国木田「今回(こんかい)は、マフィア相手(あいて)と知(し)れた時点(じてん)で、逃(に)げなかった谷崎(たにざき)が悪(わる)い」

国木田(くにきだ)は「あと、お前(まえ)な。」と田中(たなか)を睨(にら)む。

田中「いやァ……マフィアの程度(ていど)を知(し)りたかったものだから」

国木田「結局(けっきょく)、重傷(じゅうしょう)を負(お)って帰(かえ)ってきたではないか」

田中(たなか)は「私(わたし)の異能(いのう)力(りょく)で勝(か)てると思(おも)っているのか！」とドヤ顔(がお)で云(い)った。

国木田(くにきだ)は「胸(むね)を張(は)ることでもないだろう」と云(い)って溜息(ためいき)をついた。

田中(たなか)は立(た)ち上(あ)がって、腕(うで)を上(うえ)に伸(の)ばした。

田中「さて、私(わたし)には行(い)かなければならない場所(ばしょ)があるから」