【文豪ストレイドッグス】もう一匹の迷い犬(ストレイドッグ) Ⅱ (ページ11)

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第三十八話ページ11

田中(たなか)は周囲(しゅうい)に音(おと)が響(ひび)かないよう、ゆっくりと歩(ある)く。

そして、特別(とくべつ)収監(しゅうかん)室(しつ)の中(なか)の様子(ようす)を、ドアを少(すこ)し開(あ)けて覗(うかが)う。

太宰「罷免(ひめん)か、最悪(さいあく)処刑(しょけい)だ」

中也「そして…… 俺(おれ)が諸々(もろもろ)の柵(しがらみ)を振(ふ)り切(き)って、形(かたち)振(ふ)り構(かま)わず手前(テメェ)を殺(ころ)したとしても……手前は死ねて喜ぶだけ(・・・・・・・・・・)？」

太宰(だざい)が声(こえ)の音調(トーン)を変(か)えて「ってことで、やりたきゃどうぞ」と中也(ちゅうや)を煽(あお)る。

中也(ちゅうや)は殺気(さっき)立(だ)った雰囲気(ふんいき)を纏(まと)う。

太宰「ほら早(はや)く」

太宰(だざい)が一言(ひとこと)喋(しゃべ)る度(たび)に、中也(ちゅうや)は殺気(さっき)を一層(いっそう)強(つよ)くする。

太宰「まーだーかーなー？」

中也(ちゅうや)が床(ゆか)に短刀(ナイフ)を落(お)とすと、太宰(だざい)は「何(なん)だ、やめるの？」と云(い)って鼻(はな)で嗤(わら)う。

太宰「『私(わたし)の所為(せい)で組織(そしき)を追(お)われる中也(ちゅうや)』ってのも素敵(すてき)だったのに」

中也「糞(くそ)……」

中也(ちゅうや)は何(なに)かに気付(きづ)き「真逆(まさか)……」と云(い)う。

中也「って事(こと)は、二番(にばん)目(め)の目的(もくてき)は、俺に今の最悪な選択をさせること(・・・・・・・・・・・・・・・)？」

太宰(だざい)は「んー、ちょっと違(ちが)う。」と云(い)い肩(かた)を竦(すく)める。

中也「他(ほか)にあんのかよ？」

太宰(だざい)は吹(ふ)き出(だ)し笑(わら)いをして「君(きみ)は三番(さんばん)目(め)だよ」と云(い)った。