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愛が重い 1 ページ1

芥川side









僕には、秘かに想いを寄せている者がいる。









名はA。









奴は僕の部下であり、首領直轄の遊撃隊の一員でもある。









奴の容姿を一言で表すならば、「美しい」の一言に限る。









胸程迄伸びている風に波打つ黒く、光輝く宝石の様な髪は、樋口の様に後ろで一つに纏められ、

瞳は少し茶色が混ざっており、
此の世の汚れを一切知らぬのではないかと錯覚する程に純粋無垢に輝き、

陶器の様に白く、唯一つの傷もない滑らかな質感をしている肌は誰もが感嘆するだろう。









そんなAから「芥川さん」と呼ばれる度、僕は不覚ながらに心弾ませて仕舞うのだ。









奴はそんな事も知らずに、無意識なのかは判らぬが
僕の理性を壊す様な事をしてくる。









此処に記すのは止めて置こう。









兎に角、僕はAに秘かに想いを寄せており、
他の男が近付こうものなら、僕は其の男を羅生門で跡形も無くなる程に小間切れにするだろう。









実際に遣った事は今迄に何度かある。









Aが道端に屯っていた男共に絡まれているのを見た時、
何かを考えるよりも躰が先に動いた。









Aを抱き寄せ、奴の耳と眼を塞いだのは記憶している。









しかし、以降の記憶が全くない。









気付けば外套は血で濡れ、男共の姿はなくなっていた。









代わりに眼の前にあったのは、原型を留めていない血肉の塊。









紛れもなく、其の血肉の塊は男共”だった”。









不安そうに僕を呼ぶAの声で我に返り、此の状況を観させてはならぬと本能が告げて
僕は奴の眼を塞いだ侭ポートマフィア本部へと戻った。








僕が奴に好意を伝えれば、奴は何と答えるだろうか。









承諾か、それとも軽蔑か。









或いは恐怖か。









僕から去っていくのが恐ろしく、好意を伝えられぬ僕を
太宰さんは何と云うだろうか。









嘲笑うだろうか。









「それだから君は何時迄経っても弱者の侭なんだ」と、あの時の様に。









それが悔しく、だが矢張りAが去る時の事を考えると
僕は好意を伝えられぬ弱者の侭で良いのではないだろうかと思う。









僕は、如何したら良いのだろうか。









其の問いに、答える者は誰も居ない。

愛が重い 2→



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くるみ - 竜のヤンデレヤバすぎます! (2018年1月18日 18時) (レス) id: 31ba52f844 (このIDを非表示/違反報告)
loveΣ(プロフ) - 黄昏さん» ヤンデレがお好きですか……! これからもう少しヤンデレ要素を加えていきたいと思います。 (2017年6月10日 10時) (レス) id: 063d99256d (このIDを非表示/違反報告)
黄昏 - ヤンデレ好きの私には最高な作品です!更新待ってます!頑張ってください (2017年6月9日 23時) (レス) id: 1cf210e7e0 (このIDを非表示/違反報告)
loveΣ(プロフ) - 白雪さん» 励みになりました。 有り難う御座います!  (2017年6月9日 7時) (レス) id: 824a8b9bf6 (このIDを非表示/違反報告)
白雪 - 芥川って言う所が本当にもうきゅんきゅんしますっ!これからも頑張ってください!応援してます!! (2017年6月8日 21時) (レス) id: cc0947e4f7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:loveΣ | 作成日時:2017年5月20日 8時

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