歪んだ愛9 ページ9
もう水はないのに、それなのに、太宰さんはキスをやめてはくれない。
軽く腕で押し返そうともしたが、昨日彼に銃で撃たれそうになった出来事が蘇り抵抗する事に恐怖を感じる。
あの時の太宰さんは別人のように怖かった、否、あっちの太宰さんが本性なのだろう。
怒らせたら今度こそタダでは済まないかもしれない。私は暫くされるがままになった。
舌で歯列をゆっくりとなぞられ、まるで喰べられてしまうのではないかと思う程にしつこく迫ってくる。唾液と唾液が絡まり、息遣いが重なる。
しんとした静まり返った部屋に荒い息だけが響くものだから何だかとてもイケナイ事を、実際にはシテルというかされているのだけど、へんな気分になり、妙に胸がザワつく。
だんだんと息が出来なくなり、遂には私は太宰さんから逃げようとしてしまったが、彼は許さなかった。私の後頭部を掴み、より舌を絡ませる。
酸素が頭に登らなく、クラクラし、意識が朦朧とする。ただひたすら苦しくて、だけど何処から気持ちよくなってきている自分がいる。
しかし、幾ら何でも限界で思わず私は力いっぱい腕で太宰さんの胸を押しのけ拒んでしまった。
酷く噎せてしまい、久々の空気に頭に血が行き届き、少し熱が引くのを感じた。
全力疾走した後のように荒々しいしく呼吸を繰り返す。大分落ち着き、だんだんと理性が戻って来たところで私ははっと誤ちに気がつく。
太宰さんを拒んでしまった、と。
動けなくなり、ただ私はシーツを見つめた。
今度こそ殺されてしまうのだろうか、私は「ごめんなさい…」と蚊の鳴くような声で言った。
「顔上げて」無機質な声をかけられゆっくり顔をあげる。ガタガタと全身が震えるえる。
「そんなに怖がらなくてもいいよ?私は基本君を甘やかしたいだけだ。君が下手な事さえ考えなければ傷つけないし、むしろ砂糖よりも甘やかしてあげる。キスは練習すればいいだけだし、何よりもAのキスの不慣れなさはより私を興奮させる。」
今度は唇と唇が触れ合うだけの軽いキスをして、私をゆっくりとベットに寝たせた。
「疲れただろう、少し休んだ方が良い。」
赤子をあやすように一定のリズムでお腹を軽く叩く。人が近くにいることに安心したのか、先程まで寂しさがなくなり再び眠気に襲われた。
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零華 - 最高でした!太宰さんと中也さんがメッチャ好きなので、巡り合えてうれしかったです!更新待ってるので、できたらよろしくお願いします!応援してます! (2020年12月21日 17時) (レス) id: ff0d36277d (このIDを非表示/違反報告)
旧双黒推し - 更新待ってます(´TωT`) (2020年9月3日 19時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
エトセトラ - ゆっくりで良いので出来たらまた・・・! (2020年6月3日 12時) (レス) id: 348703d198 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - 完結を見たいです。急かす気はないです、楽しみに待ってます (2020年5月19日 17時) (レス) id: 0425a49796 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん - すっごい面白いです!この作品!!作者様のペースでいいので頑張ってくださいね! (2019年11月17日 22時) (レス) id: a353fd29dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涙夢 | 作成日時:2017年2月27日 23時