歪んだ愛16 ページ16
「嘘はいけないなあ。」
そう言うと太宰さんは椅子から立ち上がり、背後に回った。ポケットから見覚えのあるリボンを取り出し、私に見せつけるように端を持ちひらひらと宙に揺らす。
ぞわりと背筋に冷や汗が流れる。
私は後悔をしたが、今更どう足掻いても無駄だと内心喚く。この流れはとても危険だと本能が赤信号を鳴らすが時すでに遅し。
「こうすれば逃げる事は不可能だ。」
手首を痛いほどに強く掴まれ、背もたれの後ろ側に回され素早くリボンで固定されてしまう。解こうと必死に動かすがびくともしなくただ椅子が不安定に揺れるだけだ。
「そんなに暴れたら手首に跡が残ってしまうよ?大人しく諦め給え。」
両手で私の足を大きく開かせる。するとワンピースの裾が上がり太股が露わになってしまった。あまりにも卑猥な格好に足を閉じようとするが、股の間に右膝を滑り込まされてしまい閉ざすことを許してはくれない。太宰さんは左手で体重を支えるよう壁に手を付き、私の首に顔を埋める。
「ーーっ、ンぁ…やめ…離し、て……!」
下半身への刺激と、首をくすぐられ甘い声が口から零れ落ちる。更には首筋に軽いキスをされ、必死に抑えようとした声は虚しくも外へと溢れ出す。
「やめてはあげられないよ。だって仕返しだもの。」
心底愉しそうに、まるでそれが正当な事だと主張する様に太宰さんは言う。
私が彼の手首を縛った、その仕返し。
確かに先に手を出したのは私だ。けれどもそれには命を守る為の万一の保険、正当防衛であると反論出来る。しかし此処は彼の鳥籠。
私がいくら抵抗しようと彼には到底敵わない。
私は自分に対して後悔と怒りを向ける。
やはり太宰さんは私に怒りを感じていた、何故もっと早くその事に気付けなかったのか。否、私は気づいてはいた。寝室で背後から抱きしめられた時から彼の地雷を自ら踏んでしまった事を。けれどもあまりにも太宰さんが感情を隠すのが上手いせいで騙されてしまう。もし私がもう少し賢ければ何か対処は出来たのにと自分を嘆く。
何分たっただろうか。
膝で強い刺激を与えられた、キスの雨を降らされ、抵抗する術を失われてからどのくらい時間がたったのかはわからない。
脳がとろけてしまい、時間の感覚を失わせられる。そんな時に太宰さんはあまりにも不吉さを感じさせる言葉を発した。
「そろそろ効きはじめたかな?」
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零華 - 最高でした!太宰さんと中也さんがメッチャ好きなので、巡り合えてうれしかったです!更新待ってるので、できたらよろしくお願いします!応援してます! (2020年12月21日 17時) (レス) id: ff0d36277d (このIDを非表示/違反報告)
旧双黒推し - 更新待ってます(´TωT`) (2020年9月3日 19時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
エトセトラ - ゆっくりで良いので出来たらまた・・・! (2020年6月3日 12時) (レス) id: 348703d198 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - 完結を見たいです。急かす気はないです、楽しみに待ってます (2020年5月19日 17時) (レス) id: 0425a49796 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん - すっごい面白いです!この作品!!作者様のペースでいいので頑張ってくださいね! (2019年11月17日 22時) (レス) id: a353fd29dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涙夢 | 作成日時:2017年2月27日 23時