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『………乙骨くん、お茶、入れよっか?』





「そんなの、要らない。





今はAさん以外欲しくない」










そう言われ、胸元にグリグリと頭を押し付けられる。





髪の毛、長くなったなぁ、とか


ガタイ良くなったな、とかをぼんやりと考えた。










「……僕ね、Aさん、」





『うん、どうしたの?』





「君がいたら、頑張れるんだ」





『、そっか』





「でも、君が居なくなったら、


多分、戦えなくなっちゃう、動けなくなっちゃうんだ」





『…そう、なんだ』










月明かりと、感じる包み込まれた体温でしか


乙骨くんの存在を確認できない中、


ぽつりぽつりと言葉を紡いでいく乙骨くん。





静かな空間にはチッ、チッ、と


時計の秒針が動く音がする。










「世界中のすべてが、君の、Aさんの敵になっても、


僕が、絶対に守ってあげるから。





Aさんも、僕のこと、支えて欲しいな」





『当たり前だよ、任せて』










胸元にある頭をふわ、と撫でた。





質の良い黒髪が、


月明かりにあたり、僅かに光を反射する。










『…私ね、乙骨くん』





「うん、どうしたの?」





『もし、乙骨くんが帰ってこなかったら、


一人で勝手に死んでたかもしれない』





「……」










外から、烏が羽ばたいていく音が聞こえた。


風が吹き、カサカサと葉が揺れる。










『でも、あんな戦場よりも、


死ぬとしたら星の見える、綺麗な空気の田舎がいいな』





「…そっか」





『そこに家を建てて、


七十年後とかに笑いながら、死にたいよね。





いつまでも、私たち、二人で手握ってさ』










私、家庭菜園とかしてみたいんだよね、と笑った。





乙骨くんは顔をあげ、私の目を捉えた。





月光が逆光となり、


綺麗な黒曜石には光が灯されない。





……だめだな、彼の目を見ると、目頭が熱くなる。





自身の目に膜が張られ、


揺れずに真っ直ぐこちらを見る


純度の高い黒曜石に、


目を合わせた。










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設定タグ:呪術廻戦 , 乙骨憂太 , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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和凛 - 初めてまして、憂太らしい純粋な恋でした。更新頑張ってください!リクエストヤンデレ化棘くん作って欲しいです。 (2022年8月21日 5時) (レス) @page6 id: aabcab5ba8 (このIDを非表示/違反報告)
ありあ。(プロフ) - 長文失礼しました🙇🏻‍♀️🙇🏻‍♀️⤵️ (2022年8月20日 16時) (レス) id: fa0015969e (このIDを非表示/違反報告)
ありあ。(プロフ) - あ"〜〜好きですぅ〜〜〜!純粋な恋!って感じのもいいですけど、こういう重めの感じのも良いですよね〜〜!文5さんマジ愛す…一生着いて行きます!!()更新等頑張って下さい!無理はしないで下さいね! (2022年8月20日 16時) (レス) @page6 id: fa0015969e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:文5 | 作成日時:2022年8月19日 5時

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