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【第一試験前と姉】
受験番号のかかれた札を受け取る。イルミに手伝ってもらい、悪戦苦闘しながらもなんとか胸元に付けることが出来た。これだから着物は。
心の中で悪態を付き、イルミの腕にしがみつきながら周りを見渡す。すると見知った顔が見えた。細身の躰躯にピエロメイク。
Aは思わず仮面の下で嫌悪を丸出しにした表情を溢した。仕方ないだろう。イルミの耳元に口を寄せ、唇を動かさずに口の中で囁く。
『ちょっとギル、何であれがいるの』
「ｶﾀｶﾀ」
Aを抱える腕とは反対、右手をAの顔の前に出す。やがて浮かび上がる念字。普通に喋れる癖に何で喋らないのだ、とジト目をする。
「(あぁ、言ってなかったけ?)」
『……』
「……」
無言で頬をつねる。針で変形された趣味の悪い顔は固く、つねると言えるほどのものではないが。爪先に力を込めて皮膚を引っ張る。
されるがままのイルミは不満げだ。表情に変化はないものの、瞳には真摯に嫌がっていることを伝えてくる。それにまた腹が立った。
さらに爪先に力を籠める。その二人の光景は異様なものであり、話し掛けようと思うものは一人もいない。何せ一言も発していないのだ。
「(ごめんて)」
『……はぁ、』
微塵も誠意の感じられない謝罪が再び指先に浮かび、Aは溜め息をついて頬をつねるのをやめる。こういう奴なのだ、この弟は。
こんなところがいじらしく、愛らしい。もし他の人間であれば言い訳も聞かず、既に八つ裂きになっているが最愛の弟であれば別の話だ。
「(ね、あそこ)」
念字で声を掛けられ、イルミの視線を辿る。続々と人が増えていく中、見慣れた銀髪。つまらなそうにして暇をもて余すのはキルアだ。
『そう』
静かな声でAは相槌を打った。
続く (更新停止中)
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奈那 - とっても面白いです！！私の性癖にドストライクでした！！応援してます！！更新頑張ってください！！ (2021年10月17日 12時) (
レス) id: 7127803f97 (このIDを非表示/違反報告)
京凛(プロフ) - めっちゃ好きです!!!応援してます!!更新頑張ってください!! (2021年9月11日 20時) (レス) id: c8e77dbc20 (このIDを非表示/違反報告)
セーラ - とっても面白かったです！私の好みドンピシャでした！続き待ってます！ (2021年9月8日 15時) (レス) id: 837a48d132 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セニオリス | 作成日時：2021年8月21日 14時
