Side story : Ludo & Professor J.M - Six ページ49
あっという間に崩壊に至った宮殿。
残ったのは西の村があったであろう場所、山の頂上が平坦になっている場所であった。
建物は崩壊し、そこには何もない。
いや、何もと言うのは語弊があるだろう。
教授と共に、今度は強化魔術を足に掛けて西の村だった場所へと戻れば広場があったであろう箇所に倒れ伏している誰か。
「……生きてるかい？」
もはや端切れを纏っていると言ってもいい程のボロボロで倒れ伏しているのは先程宝具を使った公爵自身。
「生きてはいるネ。が、辛うじてと言っていい。このまま放置していれば確実に消えるよ、彼」
「……」
無言で傷だらけの公爵を見たルドは、考えた。
思考した。
どちらの方が面白いか、どちらが楽しいか。
そこに倫理感というのは存在しない。
ただ、どちらがルドにとって楽しいか面白いか。
それしかなかった。
「決めた。教授手伝ってくれ」
「念のために聞くが、どっちを？」
「もちろん彼を助ける方だ。人として、死にそうになっている人を助けるのは当たり前のことだろう？」
「……君がそれを言うと薄ら寒く感じてしまうヨ」
ルドは気絶している公爵を抱き起こすと彼の左腕を自身の肩に回す。
倣うように、教授も公爵の右腕を自身の肩に回した。
そして息を合わせて立ち上がると目的の場所にへと歩き始めた。
「こういう時、我々の身長がそれほど変わらないことを改めて実感させられる」
「彼、元々高身長の部類ではないからね」
「それを言うならルド、君もどちらかと言えば高身長じゃない部類だろう？」
「その言葉、そっくりそのまま教授に返そう」
無駄口を叩きつつも、足取りは目的地があるかのように迷いはない。
「それで？ 公爵くんを何処へ連れていくのか尋ねても？」
「分かっていることを聞くのは俺に対して失礼じゃないか？」
「いやなに、長らくあのいけ好かない名探偵と共に居させられたからネ。少しばかり思考が移ったのかもしれない。イヤダネェ」
くしゅんとくしゃみが聞こえた気がしたが気のせいだろう。
「もちろん、彼女のサーヴァントだった人物のところだ」
「だと思ったヨ。君に執着されている彼女も、彼も私としては一種の薄ら寒いものを感じてしまうネェ」
程なくして彼等は彼女のサーヴァントだった人物の元へと公爵を無事に届け終えた。
戦局を見終えることもなく、レイシフトを完了させたルドと教授は怒りで笑顔になれていない機関の所長に出迎えられたのである。
土産に情報を持って──。
あとがき２→←Side story : Ludo & Professor J.M - Five
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翔べないペンギン(プロフ) - 爆死なうさん» コメントありがとうございます。そういただけますと大変嬉しいです。拝読いただきありがとうございました。 (2021年2月16日 8時) (
レス) id: 968bf19702 (このIDを非表示/違反報告)
爆死なう - 素敵な作品をありがとうございました。 (2021年2月15日 0時) (レス) id: baaad41788 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翔べないペンギン | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/
作成日時：2020年12月6日 18時
