Side story : Ludo & Professor J.M - Two ページ45
外にいるのは誰か。
もちろん警戒対象である、あの青白い顔色の公爵である。
奇しくも目を付けていた彼を
「お邪魔したかな？ 青年」
程なくして入り口から顔を覗かせる公爵は、相変わらず読めない表情であった。
「……」
「ははは、そう警戒しないでくれ。確かにあの時君を物理的に意識を奪ったことには謝ろう。だからそう睨んでは折角の美しい造形が台無しになってしまうぞ？」
「…………」
「これは手厳しい」
肩を竦めてそう呟いた公爵は続ける。
「実はこの身体の本来の持ち主である彼が君を酷く気にかけていてね。私もバスで轢いてしまった手前、怪我が悪化していないかと心配もしているのだ」
「……別に、気にかけてもらわなくても此処での暮らしはなに不自由ない。怪我も、少し打撲をしただけでもう治っている」
まさか自身もレイシフト完了してからものの十分で、透明な何かに轢き殺され掛けるとは思いもしなかっただろう。
咄嗟に防御魔術と教授に庇ってもらったため、左腕は確かに負傷したが本当に軽い打ち身程度で済んだ。
それも自己治癒能力に見せ掛けた治療魔術によって完治済み。
公爵が気負う必要などもう皆無。
というのに、こうも構ってくる奴にお節介かただの責任感が強いのか、いやただの変わり者か。
「そうか、完治しているか。ならば」
にこりと笑った彼は一瞬で両手にバケツを投影魔術で作り出すと、その一つをルドにへと差し出す。
完治したと言った手前、何かしらの接触を更にしてくるだろうと考えていたが、やはりそうである。
「水汲みの手伝いを頼みたい。男手は大いに越したことはないしな」
「……」
白い歯を見せて笑うその顔は憎らしい程の良い笑顔。
隠すことなく溜め息を吐いたルドは不機嫌そうな表情のまま、公爵より差し出された右のバケツを受けとる。
しかし、受け取ったというのに微動だにしない公爵を見れば目を大きく見開いていて。
「……何か？」
「あ、いや……、すまない。てっきり手伝いは断られると踏んでいたゆえ。少々驚いてね……」
なるほと、これが普段懐かない猫が急に構ってくれるという……と、小声で呟く公爵に表面上眉間に皺を寄せて睨んでいるルドだが内心くすりと笑う。
この公爵の趣向は既にわかっている。
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翔べないペンギン(プロフ) - 爆死なうさん» コメントありがとうございます。そういただけますと大変嬉しいです。拝読いただきありがとうございました。 (2021年2月16日 8時) (
レス) id: 968bf19702 (このIDを非表示/違反報告)
爆死なう - 素敵な作品をありがとうございました。 (2021年2月15日 0時) (レス) id: baaad41788 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翔べないペンギン | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/
作成日時：2020年12月6日 18時
