Fifty-two ページ5
見覚えのある格好をした騎士達の先頭を歩くのは、闇夜により更に不健康な顔色の騎士。
その進行方向の先に、バッキンガムは待ち構えていた。
「……誰だ」
「やぁ、初めまして。御機嫌よう」
数メートル手前にて立ち止まった一行は、警戒するようにバッキンガムを見据えた。
薄く月光が照らすがそれでも日光に比べたら弱いために、帽子を被るバッキンガムの顔には影が浮かぶ。
しかし薄らと浮かび上がるその瞳は、爛々とアグラヴェインを睨み付けていて。
「何者だ」
「何者だと問われたら？ 答えてあげるのが世の情け。世界の破壊を防ぐため、世界の平和をまも」
「生憎道化に時間を割いてやる必要性がない。お前達、奴を捕まえて牢屋に打ち込」
「こらこら。台詞を遮るのはよくないよくない」
どうやら冗談は通じない者らしい。
アグラヴェインの指示の元、自身を捕まえようとする粛正騎士達に敵意がないことをアピールするためにバッキンガムは両手を両肩まで上げる。
「あくまで私は貴殿等と世間話をさせてもらいたかっただけだ。戦闘をするつもりは毛頭ないのだが」
「ならば、今この場に起こっているこの騒動は貴様の仲間か？」
「答えるとお思いか？」
「では捕らえて吐かせるのみ」
一人の粛正騎士がバッキンガムに掴みかかる。
しかし、実態を持たないのかバッキンガムの身体を擦り抜けていったではないか。
「！」
「言っただろう？ 私はあくまで貴殿等と世間話をしたいだけだ。ゆえに今この場にいる私は実態を持たない」
通り抜けたことに、粛正騎士達にざわめきが生じる。
そこに確かに人がいるというのに、どういう訳か実態がない。
ひらひらと手を振り不気味なまでに口元に弧を描くバッキンガムは、どこか幽鬼を彷彿させる何かを持っている。
影から覗くその緑の瞳が、余計にその異様さを増長させてくるではないか。
少し臆病風に吹かれ始めている粛正騎士の何名かを一瞥したアグラヴェインは、子供騙しだと呟く。
「狼狽えるな。魔術を使ったのだろう。本体は我々の近くで此方の様子を見ているに違いない」
「流石はアグラヴェイン卿。その通り。私は貴殿等が見える位置にいるよ。捕まえにくるのかな？」
あっけらかんとネタバレを言われたバッキンガムはにこりと笑う。
そしてまるでここだと主張するかのように彼等の近くで物音を一つ立てた。
目くらばせしたアグラヴェイン卿は一人の粛正騎士にその音の発生源の場所へと向かわせる。
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翔べないペンギン(プロフ) - 爆死なうさん» コメントありがとうございます。そういただけますと大変嬉しいです。拝読いただきありがとうございました。 (2021年2月16日 8時) (
レス) id: 968bf19702 (このIDを非表示/違反報告)
爆死なう - 素敵な作品をありがとうございました。 (2021年2月15日 0時) (レス) id: baaad41788 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翔べないペンギン | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/
作成日時：2020年12月6日 18時
