Seventy-eight ページ32
──同時刻。
バッキンガムは酷い倦怠感と身体を蝕む毒と呪いによって目を覚ました。
目覚めとしては最悪と言っても過言ではないだろう。
視界に入るは薄暗い黒い空間のみ。
まだ視力が正常に作用していないが、聴覚や嗅覚は正常に働いている。
聞こえるのは反響する微かな風の音と水滴が何かに落ちたような音。
香るのは土の臭いと埃っぽい何か。
音と香りから判断するには洞窟か洞穴かに自分がいると決断を下したバッキンガムは、上体を起き上がらせて目を押さえた。
バッキンガムの解釈の通り、洞窟か洞穴のようだ。
しかし、漂う雰囲気は明らかに普通の洞窟でも洞穴ではない。
どちらかと言えば。
「目が覚められたか」
「！」
背から聞こえた声に、咄嗟に転がるように距離を取ろうとしたのだが呪いと毒によって激痛が走り、失敗に終わる。
「っ……誰、だ」
「名はない」
気力を振り絞って、背後を見ればフードを目深く被った誰かだった。
薄暗いためにはっきりとは不明だが、確かにバッキンガムは見覚えが。
「御年配？」
それは、バッキンガムを西の村にまで案内した老人であった。
「何故貴殿が……」
「……」
驚きの表情で老人を見上げるバッキンガムだが、老人は何も言うことなくバッキンガムを見下ろすのみ。
「貴殿が助けて、くれたのか？」
「然り。汝は晩鐘に名はまだない。加え、汝の身体は共に歩みを進めた
「なるほど、ルイスの知り合いの知り合いか」
納得したが一つ疑問、いや考え始めれば様々な疑問が湧き上がってくる。
まずはここはどこか。
何故に自分はまだ現界できているのか。
ルイスはどこにいるのか。
この御老人はいったい何者なのか。
疑問は尽きることなく出てくる出てくる。
「御年配、いくつか質問をしたい。よろしいか」
「然り」
ならばとバッキンガムは一つずつ質問をする。
御老人曰く、ここはアズライールの廟という場所らしい。
バッキンガムが現界できているのは湖の乙女と花の魔術師の二人の助力があるため。
ルイスは花の魔術師の元に精神体にて保護されている。
そして。
「我はハサンを殺すハサンなり」
「……なるほど。初代ハサンということか」
どうやらこの目の前の御老人は、百貌のハサンや呪腕のハサン、
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翔べないペンギン(プロフ) - 爆死なうさん» コメントありがとうございます。そういただけますと大変嬉しいです。拝読いただきありがとうございました。 (2021年2月16日 8時) (
レス) id: 968bf19702 (このIDを非表示/違反報告)
爆死なう - 素敵な作品をありがとうございました。 (2021年2月15日 0時) (レス) id: baaad41788 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翔べないペンギン | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/
作成日時：2020年12月6日 18時
