Sixty-seven ページ20
共に片付けをするバッキンガムとベディヴィエール。
杯を回収し、皿を片付け、残飯を集める。
一人ですれば多少時間は掛かったかもしれないが、二人ですればすぐに終わる。
残飯は投影したラップに包んで涼しい場所に保管し、食器や杯は石鹸で洗って風通しの良いところに置いていた。
「さて、ルキウス兄君」
全ての作業が終わったバッキンガムは、杯を二つと酒瓶らしきものを一つ持って悪戯っ子のように笑っていて。
「少しだけ、付き合わないか？」
「……生憎酒は飲まない主義なのです」
「おや残念」
飲みにへと誘ったのだが断られてしまった。
しかし、さして残念そうな様子も見せずにその握った杯と酒瓶を戻そうとするバッキンガムの背に、ベディヴィエールは言葉を続ける。
「ですが、お茶であればお付き合いいたしましょう」
あと、兄ではありません。
振り返れば少し笑みを浮かべているベディヴィエールに、バッキンガムはからからと笑って杯と酒瓶は置いて、代わりにこの土地ならではの茶葉が入った小さな壺を持ったのである。
広場に戻ったバッキンガムは茶器を投影した。
王室御用達のティーセット。
細やかな細工を施されたそれは生前のバッキンガムが愛用していたものなのかもしれない。
温度計で湯の温度を気にしつつ、沸騰直前に茶葉を入れたティーポットへと注ぐ。
側で彼の手際の良さや機器に数々に圧巻されつつ、ベディヴィエールはぽつりと呟いた。
「……本格的ですね」
「当たり前だよルキウス兄君。英国紳士たるもの、紅茶には煩くないと」
得意げに笑って懐中時計を見つつ、茶葉のエキスが抽出されるまでの間にティーカップにお湯を注ぎ温めておく。
そして時間がくればティーカップに入ったお湯を捨て、ティーポットから香り立つ紅茶を注いだ。
ティーソーを付けて、ベディヴィエールに差し出した。
「さぁ、どうぞルキウス兄君。生憎砂糖もミルクもないためストレートだがね」
「……いただきます」
ティーソーを持ちつつ、カップに口を付けた一口。
「！」
「銘柄の茶葉ではないのでそこまで風味や色、味が出せていないがなかなか良いものだろう？」
「……えぇ、とても」
思わず笑みが出る程、とても優しい味がするそれ。
確かに紅茶と呼ばれるもとは違うが、それでも美味しいと言える。
バッキンガムもベディヴィエールの反応を見て笑みを浮かべて、自身もカップへと口を付けた。
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翔べないペンギン(プロフ) - 爆死なうさん» コメントありがとうございます。そういただけますと大変嬉しいです。拝読いただきありがとうございました。 (2021年2月16日 8時) (
レス) id: 968bf19702 (このIDを非表示/違反報告)
爆死なう - 素敵な作品をありがとうございました。 (2021年2月15日 0時) (レス) id: baaad41788 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翔べないペンギン | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/
作成日時：2020年12月6日 18時
