Sixty-six ページ19
抱腹絶倒という言葉がこれほどまで適切と言える程、自身の腹を抱えて笑っているのはアーチャークラスに分類されている英霊二人である。
彼の前には不服だと言わんばかりに不機嫌そうに酒を飲んでいる擬似サーヴァントが一人。
その左頬には赤々と彩っている紅葉が一つ、その青白い肌に映えていた。
「……笑い過ぎだ二人共」
「いやー悪い悪い！」
「うむ！ 男前が更に上がったぞ！」
何があったのかを一部始終、二人に伝えたところ。
最初こそはニヤニヤと笑っていたのだが最後に頬を平手で打たれたという言葉に抱腹する程の爆笑されたのだ。
ケラケラと笑う二人に、バッキンガムは半眼で見つめ返すが更に笑われるだけである。
はぁと大きく溜め息を吐く。
ジンジンと鈍く痛む左頬に、まだマシかと思えるのはなぜか。
理由としては身体の持ち主の記憶に、彼のフィアンセの姉に何度か死にかける程彼女の怒りを買った出来事があったためだろう。
最早バッキンガムを見るだけでも笑っているアーチャー二人に、酒は程々にと素敵な笑顔を残して周囲の酔い潰れた村人達の回収をする。
子供や女性は広場にいなかった三蔵やベディヴィエールが住処に返したのだろう。
酒気を帯びた男達はそれはそれは豪快ないびきをかいていて。
車椅子を一つ投影した彼は一人乗せて住処へと返し、一人乗せては住処へと返しを繰り返していた。
何十回繰り返したか。
宴をしていた広場は明かりと、酒と食事の残りのみが残っていた。
どうやらバッキンガムが村人達を返している間にアーチャー二人も決着が付いたのか、先に伸ばしたのか。
それともバッキンガムが村人達を返していることに気付いて二人も村人達を返しにいったのか。
二人がいた場所には二つの杯が置いてあるのみであった。
やれやれと肩を竦め、後片付けをしていくバッキンガムに一人誰かが近付く。
「バッキンガム公」
振り返れば布を一つ持ったベディヴィエールが立っていた。
「やぁルキウス兄君。もう宴は終わってしまったのだが、いかがされたかな？」
「兄君ではありません。それよりこちらをどうぞ。水で濡らした布です。これで患部を押さえれば少しは赤みが引くかと」
「……それは、どうも」
「ふふ、綺麗な跡を消すのは少々忍びないのですけどね」
くすりと笑うベディヴィエールに、貴殿もかと言わんばかりにバッキンガムは半眼になって睨めば穏やかに笑む銀の義腕の騎士であった。
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翔べないペンギン(プロフ) - 爆死なうさん» コメントありがとうございます。そういただけますと大変嬉しいです。拝読いただきありがとうございました。 (2021年2月16日 8時) (
レス) id: 968bf19702 (このIDを非表示/違反報告)
爆死なう - 素敵な作品をありがとうございました。 (2021年2月15日 0時) (レス) id: baaad41788 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翔べないペンギン | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/
作成日時：2020年12月6日 18時
