Forty-nine ページ2
三蔵以外唖然としている一同をよそにバッキンガムはにこやかな声で立香とマシュ、そして百貌に乗るようにと勧める。
「いや、え、え？」
「ですが公爵、流石に私達だけというのは」
「というより、もっとマシなものを出せないのか貴様は」
戸惑ったようにライオンのそれ、通称ライオン号とバッキンガムを見て困惑の色を見せる立香と、用意されていない呪腕のハサンとバッキンガムの二人を気にしているマシュ、それ已然に見た目を気にしている百貌のハサンの三人。
「みんなー、置いてくよー？」
既に遠くにいる三蔵の声に、バッキンガムはほら早く乗るようにと促せば少しばかり思考をしたのちに、マシュと立香はライオン号の方へと跨り発進させたのである。
百貌のハサンの顔見るが、断じて乗らないという意思のため泣く泣く可愛らしいパンダの顔が付いたメロディーペットは消すことに。
心持ちか消す際に悲しそうな表情で百貌のハサンを見ていたが、おそらく目の錯覚か気のせいだろう。
残った者全員は足を動かしてメロディーペットに乗る三人を追いかけた。
最後尾を軽く駆けるバッキンガムに、少しずつ速度を落としてきた呪腕のハサンが静かな声色で声を掛けてくる。
「ん？ いかがされたかな、呪腕の」
「何故、魔力を更に消費するようなことをされたのかが気になりましてな」
問われた内容に、少しばかり足が止まったバッキンガムだが直ぐに駆け出した。
「……貴殿も気付いていらっしゃった口か」
「無論」
「なるほど。貴殿も百貌のと同じで、以前に魔術師と関わったことがある者、か」
「さぁ？ 生憎“記憶”はありませんのでな」
並行するように走る呪腕のハサンを尻目で見るが、仮面をしているために表情は不明。
だが、いい“記録”ではなかったことは確かだろう。
「それはさておき、何故自らの首を絞めるようなことをなされたのですか？」
「いやなに、玄奘三蔵法師といえば白馬に乗ったイメージだろう？ それに女性を長距離歩かせるのは紳士として少々心苦しくてね」
「なるほど。ゆえに百貌にも出されたのですね」
「いかにも。まぁ断られてしまったが」
先を走る百貌のハサンの背中を見て、バッキンガムは肩を竦めた。
「しかし、彼女はいわゆるツンデレという属性になるので致し方な」
瞬間、軽く頭を右へ傾けたバッキンガム。
頬スレスレにナイフが一本、過ぎ去っていったではないか。
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翔べないペンギン(プロフ) - 爆死なうさん» コメントありがとうございます。そういただけますと大変嬉しいです。拝読いただきありがとうございました。 (2021年2月16日 8時) (
レス) id: 968bf19702 (このIDを非表示/違反報告)
爆死なう - 素敵な作品をありがとうございました。 (2021年2月15日 0時) (レス) id: baaad41788 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翔べないペンギン | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/
作成日時：2020年12月6日 18時
