Forty-eight ページ1
声の元へ駆け出すこと少し。
そこには涙を流して怯えている女性が一人、目の前に聳え立つ程の巨大な敵性生物の前にいた。
瞬く間にその敵性生物──スプリガンをバッキンガム以外の全員が倒し終え、女性の救助に成功。
立香が大丈夫かと問えば、泣きながらありがとうと言う女性は自身が玄奘三蔵であると述べる。
玄奘三蔵とは、西遊記で有名な僧侶。
まさか女性だったとは誰が思おうか。
更に言えば妙齢な女性、いや少女になるだろうか。
少女となれば誰かが反応する、ということは何故か起こることがなく。
「御無事かね、
「うん、ありがとうお兄さん」
手を差し出したバッキンガム自身もやや不思議に思いつつも気にすることなく、玄奘三蔵はその手を取り立ち上がった。
立香が「どうしてこんなところにいるのか」という質問に対して、彼女も"トータ"と呼んでいる誰かを助けるために立香達と同じ場所へと向かっていたらしい。
目的が同じならばということで玄奘三蔵も一行に加わった。
「しかし、玄奘三蔵とならばやはり馬が必要ではないか？」
砂吹雪が吹き荒れる道中、ふとバッキンガムが三蔵へと尋ねると否と言う。
「確かに馬があると便利だけど、天竺までの道のりで危険なところもあったから歩くことも多かったよ」
にこやかに言う三蔵に、ではとバッキンガムは詠唱を一つ唱えて何かを三つ作り出す。
「え」
「これって、遊園地とかにあるやつ？」
「御名答！ メロディーペットというやつだ」
それは現代でいうところの遊園地やデパートの屋上などで見ることが可能な、コインを入れたら動くことができる動物を模した電気自動車の部類である。
パンダカーの名称で親しまれる一体と、白馬の形をしたもの、そしてライオンの形をしたものの計三体だ。
「さぁどうぞレディ・三蔵」
「わぁありがとうバッキンガム！」
笑顔でデフォルメにされた馬の形をしたメロディーペットに跨がった三蔵は、手綱を持つと軽く腹を蹴った。
しかし進むことはない。
「あれ？」
「あぁ、ここのボタンを押してくれ。通常であれば硬貨が必要だがそこは少しばかし改造してある」
「ここね！」
ぽちっと押せば進み始める白馬のようなもの。
そこまで速度はないが、小走りぐらいの速度は出せているだろう。
本来であれば走行と共に音楽も鳴るのだが、この状況下で音を出せば無駄な戦闘が増えるために出さないようにしているのだ。
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翔べないペンギン(プロフ) - 爆死なうさん» コメントありがとうございます。そういただけますと大変嬉しいです。拝読いただきありがとうございました。 (2021年2月16日 8時) (
レス) id: 968bf19702 (このIDを非表示/違反報告)
爆死なう - 素敵な作品をありがとうございました。 (2021年2月15日 0時) (レス) id: baaad41788 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翔べないペンギン | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/
作成日時：2020年12月6日 18時
