一緒に 何を 食べようか 【袋井満】

47　得意、不得意 ページ7

『…満くんって苦手なことないの？』

満「急にどうした」

ご飯を作ってくれている満くんをソファーに座って眺めながら拗ねるように言う。私は苦手なものが多いのに、満くんは今のところ苦手そうなものは思い浮かばない。不公平だ！

満「お前の苦手なものは努力でなんとか出来るやつだろ」

『……努力出来たら苦労はしない』

満「しろ。…てか、何が苦手なんだ？」

『え？えっとね…』

まずは数学。これはほんとに理解が出来ない。次は絵を描くことかな。犬描いたのに猫って言われるし。あとは、料理もあんまりしたことない…と言うか、母親がいた頃は手を傷つけるとか言われて刃物を扱わせてもらえなかった。あと…雷はおっきい音するからやだ。あ、ゲームもやったことないからなぁ…

満「多いな」

『…うん、嫌いなものいっぱいある』

満「じゃあ逆に得意なもんはあるのか？」

得意なこと？
まずは音楽関連のことでしょ？あと、聞いたことを覚えること。うーん…運動も…出来無くはないかな…
あ、英語以外の文系教科は得意！数学が凄まじく苦手なのに私がA組なのは、文系教科でめちゃくちゃ点を取れるからでもある。

満「国語が得意なのは羨ましいな」

『満くんは国語が苦手なの？』

満「嗚呼、他に比べて点は取れねぇな…あ、でもお前ほどじゃねぇぞ」

めちゃくちゃ馬鹿にするじゃん？
満くんは苦笑しながらテーブルにご飯を並べる。今日のご飯は…あ、チキン南蛮だ！

『いいね、いいね、チキン南蛮！』

満「…単純ってよく言われねぇか？」

『え？』

満くん(ママモード)にまた苦笑しながら心配されつつ机に向かい合って座る。
現金な奴だなって言われたことはあるよ？君に。

『私も馬鹿じゃないから……あ、おいしー』

満「すぐに騙されそうで俺は心配だよ…」

ムスッとしながらチキン南蛮を一口食べて、一瞬で表情が和らぐ私を見て満くんは呆れたようにため息をついた。

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