一緒に 何を 食べようか 【袋井満】

45　課題 ページ5

指輪学園中等部 2年A組教室

満「…勉強するぞ」

『…………えぇ…』

満くんは数学の課題の提出日が近いだろと言いながら私と机を挟んで向き合うように座った。
私の点数知ってるでしょ？数学だけは無理なんだよ…

満「でもお前、定期試験は別に特別悪くねぇだろ」

『あれは…ねぇ？』

満くんは自分の課題を終わらせながら視線だけを私に向ける。私も先日よつばさんに教えられた(「先輩先生！」参照)ことを思い出しながらなんとか自分の力でとき進めた。

満「…少テストでは図形の問題から一次方程式を生み出すお前が、なんで定期試験になるとそれなりに解けるんだろうな？」

『………知ってる？中学校の定期試験って…問題全部問題集からそのまんま出るんだよ

満「……つまり？」

……回答丸暗記……』

しゅんとして小さくなる私を見て満くんは大きなため息をつく。だって解き方覚えても使えないんだもん…

満「確か、国語は得意だろ」

『うん…』

国語は満点ばかり取る。
得意科目は国語、歴史、生物。苦手科目は英語、数学、地理、科学。特に数学がやばい。……圧倒的に文系脳だな、私って。

満「そんなんで高等部あがれんのか？」

『が、頑張る…』

満「俺は高等部まで上がるつもりねぇから心配だな…」

『え…一緒じゃないの…？』

満「まぁな…ほら、さっさと解けよ」

そっか…高等部に上がったら満くんと一緒にいられないのか…寂しいな…
落ち込み度が上がったまま、問題用紙にシャーペンを走らせる。間違ってるところがあれば満くんが指摘してくれた。

『…数式を見ると拒絶反応が……数学アレルギーかもしれない……満くん…残りやって…』

満「全部解けたらそうだな……いっぱい撫でてやるし、好きなもんも作ってやるよ」

『あ、アレルギー治った気がする』

満「………現金な奴だな…」

一瞬で元気を取り戻して問題を解き始めた私を、満くんは苦笑しながら眺めていた。

『…出来た！』

満「…………そーだな…」

苦手な数学を自分の力でなんとかできた！やったー！
結果として、私の間違いをその都度指摘してくれた満くんの方が(精神的)疲労を伴ったけれど、そんなことも気にならないくらい嬉しかった。
自分の力「だけ」で解けたわけではないから、断ることもできるのだけれど、満くんは宣言通りいっぱい撫でてくれたし私が好きなものをいっぱい作ってくれた。

『…満くんって、なんだかんだ私に甘いよね』

満「悪いか？」

『いいえ、全然』

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