好きすぎて忙しい。【Bs39】

. ページ44

⁡

39「涼斗さんは喧嘩の理由とか全部知ってたんですか」


38「いやあ〜こいつ俺にも全然話しよらへんしな〜」


39「そうなんすね」


「ごめんやん！」



後ろでぷくーっと不貞腐れるAちゃん。
涼斗さんにも言ってなかったんや。



38「いうてなんでかとか想像ついてたし、別にいいねんけど」


39「がちですか」


39「ならちょっとはなんか教えてくださいよ〜」


38「いや自分らで解決した方がいいかなって思って」



それはひとつ上の先輩や兄としての視点から来る気遣いなのだろうか。



38「まあ仲直り出来たんやし良かったやん」


「そやね〜」



お酒で少し陽気になったAちゃんがにこにこ笑うのが鏡越しに見えた。



38「Aは原因なんやから黙って笑」


「ごめん、笑」



正直ここまで拗れたのは自分のせいだから少し決まりが悪いような、Aちゃんが原因と言われるのはなんか違うような気がした。



39「まあ俺も酷いことしたんで、おあいこっす」


「陵真くんやさしい、」


38「ほんまに」


38「こんないい友達なかなかおらんし大事にせえよ」



そんな風に話していたらだんだん俺の家が近くなってくる。
こんなにすっきりした気持ちで家に帰れるのは久しぶりかもしれない。



38「よし、じゃあ池ちゃん今日はありがとうな」


39「自分こそ、送ってもらってありがとうございました！！」


38「ついでやし全然やで」


39「では！失礼します！」


「陵真くんばいばい〜」



こっちを向いて手を振るAちゃんに向かって手を振り返す。
起きてからはずっとにこにこしていてなんだか自分より少し幼く見える。
とはいえ自分もアルコールで顔は真っ赤になっているだろうから人のことは言えないなと思いながら家へ帰った。

助手席→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す