好きすぎて忙しい。【Bs39】

. ページ33

⁡

39side



ある日、自動販売機に飲み物を買いに行こうとすると、角の向こうから女の人の泣いている声が聞こえてきた。
結構泣いてるな、と思いながら角に近づいていく。


あれ？この声、Aちゃんと椋さん？


知っている2人だから気になって、でもここに居るのが向こうに分かると嫌だなと思う。

そーっと角から覗くと予想通り、Aちゃんと椋さんだった。


Aちゃんは声だけを聞いた時に俺が想像していたよりも涙を流していた。



なんで、こんなとこで泣いてるん？
しかもなんで横にいるのは椋さんなん？
距離、近すぎひん？


聞きたいことは浮かんでも聞けない。

最後に関係性を終わらせるような一言を放ったのは俺なのに。


あの時、最後に見たAちゃんの顔は泣き顔だった。

ああ、俺、Aちゃんの泣いてる顔しかもう見れへんのかな。
完全に自業自得すぎて自分にも呆れる。



「ほんとは仲良くしたいし、話したいんです」


「ほんとはこんな風になりたくなかったんです、、！」



これは誰とのこと？もしかして俺？


ぼんやりとしか聞き取れなくなった耳が、自分の名前が呼ばれていることだけ拾った。
そして、Aちゃんのことを傷つけたことに思いがけない形で再び気づく。

仲直りが必要ないなんて我ながら酷いことを言ったなあ、とどこか冷静な自分を頭に宿しながら、あの日以上の後悔でいっぱいになる。

どうしよう。
俺が、あんな酷いことをした俺が、仲直りしてくださいなんてそんなこと言っていいのか？

それはさすがに無責任すぎる？


でも、Aちゃんが自分と仲良くしたいと思ってくれているのなら、



39「Aちゃん、」


53「ちょっと待って」


39「え？」



誰かに肩を掴まれたと思ったら宜保さんだった。

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す