【ヘタリア】吸血鬼の捕虜になりました。

虚無感と欲塗れ ページ5

私が一向に整わない頭の整理をしていると、
彼は私の居るベッドの上に乗ってきた。

反射的に避けると、｢もう何もしねぇよ」と言い
包帯を取り出した。
白い、繊細な手がまず、私の腕に伸びてきた


彼は、昨晩の私の傷を手当してくれた。
なんだか、傷の数が思った以上に多くて本当にボロボロだった。情けない


｢どうも」


｢別に。つーか ･････可愛げの無い女だな」



むむ。
そっけないからだろうか。

仕方ないだろう、まだこの人が何者なのかも全然知らないというのに。
まして、いきなり首を噛んで来た男に愛想良くできるものか。

でも･････何も言わないよりはいいと思う



青年は溜息をふぅ、と吐いて
憂鬱そうに外を眺めた。

太陽が嫌なくらい綺麗に優しい光を放っていた

外には鳥の鳴き声くらいしか聞こえない程、
静寂に包まれていた。



｢お前、名前は？」



その声は世界に筒抜けしてしまいそうな程
静寂を打ち破って来た、何処か凛とした声。



｢･････A、です」



｢･･････････」



･････何も言われなかった。
なんとか言って欲しいくらいだが


すると彼はおもむろに私の首に指を這わせた



｢･････！きゃっ」


｢俺は、アーサーだ。･････夜にお前の首から血を摂った吸血鬼」



肩が竦む。
思わず目をぎゅっと瞑ってしまった。


｢いいか？これからは さっきも言ったが
俺の飯代わりにお前はなる訳だ。･････まぁ 俺を楽しませる位の事もしろ。･･･これから生きるんならな」


色っぽい声が耳元に掛かる。
首筋に細い指が置かれているようだ。

くすぐったくて
思わず彼の腕を掴もうとしたが、力が入らずどうしようもできなかった。



｢は･････離して･･っ」



｢離して、か」







＿＿＿＿グイッ








刹那、強引にも腰を引き寄せられる。
自然と彼と身体が密着した。

もう、頭が働かないし、体も身動きが取れない




｢A、お前は＿＿＿＿離してください だろうが」



ニヤリと笑う気配が、横から感じた。
力が込められて、余計に動けなくなる。


正直、敬語なんて癪だが


･････



｢離して･･･････ください。」




恥ずかしさと複雑な内心で、頬が上気した。

丁度、彼の肩が私の口元くらいの位置だったので必死に息を繋いでいた



すると彼は私の反応を楽しむかのように
こう言ったのだ。






｢嫌と言ったら？」

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