第７話 そのメイド、初仕事。 ページ10
昨日の騒ぎから、今日の朝まで、兵士どころか庇った二人のメイドと、メイド長以外から声を掛けられることは無かった。メイド長からは自分を大事にと咎められたものの、すぐに切り替えられ仕事を任される。
「レティに聞いたけど、貴方、バリスタ？的なことができるのですって？」
「はい。一通りは」
「それじゃあ、スマイル様の執務室に紅茶をお願いできる？アッサムティーでね」
「畏まりました。執務室の場所さえ教えていただければ、すぐに」
「この子が案内してくれるわ。私の使い魔よ」
ティミスさまの肩に留まる鳥……聞けば“燕”と教えて貰った。この燕さんが、案内して、終われば自分で戻るとのこと。
移動距離を大まかに測り、紅茶を入れてカートに載せる。蒸らすのは移動中にできるから、到着する頃には良い具合にできているだろう。
「凄い、書物の森だ……」
ノックをしたけども返事は無く、仕方なく声をかけて開けると、執務室はどこを見ても本だらけだった。マムに鍛えて貰う時間以外は図書館に入り浸っていたから、少しだけ懐かしい。
「んあ、今日担当の新人？あの時の転移魔法のヤツか。じゃ着いてきて」
本棚の前から顔を上げたスマイル様が、返事も聞かずに踵を返す。そのタイミングというか、間に違和感を抱きつつも、言われるままに執務室に足を踏み入れた。
「俺に関する業務は、随時伝える。大まかなのは食事の用意と、言った資料探しと掃除、それくらい」
「畏まりま」
「朝はもう摂ったから、昼になったら伝えて。それまで本棚の掃除よろしく」
本棚の掃除となると、上からハタキと、破損具合の確認、順番の整理か。スマイル様に一番遠い所から始めよう。時間はカゲが教えてくれる。しかし、どこかおかしい。口に出すほど愚かではないけど。
「ご主人様、昼食の」
「……あ。あぁ、そんな時間か」
時計を驚かさないよう、視界の端から差し出してみせる。やはり、私が言い切る前に言葉が発せられた。
「紅茶はあんたが淹れたのか」
「はい。お口に」
「なかなか良かった。また頼む」
「畏まりました」
それからしばらく、指示された資料を取りに応じる事以外の会話は無く、一日の業務を終えた。
第８話 そのメイド、一掃する。→←第６話 そのメイド、慕われる。
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紅鴇ﾍﾞﾆﾄｷ@pc垢 - すみれいんさん» コメントありがとうございます！主人も自分も怖がらずに接してくれた＋ご主人に優しいメイド！という認識の結果、めっちゃ懐いちゃったグリューンです。 (8月21日 7時) (
レス) id: 34f7b3b145 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - グリューンが可愛いと思ったのはきっと私だけじゃないと思います！！実際にいて欲しいと思っちゃいました！！ (8月20日 4時) (レス) @page48 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
紅鴇ﾍﾞﾆﾄｷ@pc垢 - みゅんみゅんさん» コメントありがとうございます!!!!凄い、古参読者様だ……!!今回ついに最後の一人と絡みます!! (5月15日 23時) (レス) id: 34f7b3b145 (このIDを非表示/違反報告)
みゅんみゅん(プロフ) - ５話くらいの頃からずっと読ませていただいています！だんだんと夢主との絡みが多くなってきていてワクワクします、更新楽しみにしてます！ (5月14日 14時) (レス) @page30 id: 1c8f9011d0 (このIDを非表示/違反報告)
紅鴇ﾍﾞﾆﾄｷ@端末垢 - ほっとミルクさん» 外見的コンプレックスが今回の要素でもあるので、夢主の立場と性格生い立ちその他を混ぜた結果、包帯ぐるぐるメイドになりました( ´∀`)応援ありがとうございます！ (2023年4月6日 11時) (レス) id: 15e99861f0 (このIDを非表示/違反報告)
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