第８話 そのメイド、一掃する。 ページ11
スマイル様の専属という訳ではないが、新人指導で多忙なメイド長の代理として紅茶を運び、指示された仕事をこなす日々が続いた。相変わらず違和感のある会話の間はあるものの、説明もなければ変わる様子もない。メイド長には聞く暇がなかった。
「なぁ、ちょっと付き合って」
「畏ま」
「と言っても、ちょっと資料室に行くだけだけど」
荷物持ちか、探し物の手伝いということか。一応文字は読めるから手伝うことはできるけども。
「あら、スマイル様じゃないですか」
おそらく先輩であろうメイドが、妙な口ぶりで寄ってきた。対してのスマイル様は我関せずというか、これは……
「あーそうでしたそうでした！聞こえてないんですもんね！」
「あはは！どうですかぁ？メイドにこんな風に言われるの！」
掻き毟りたくなるようなさざめきが這い上がってくる。音は無くとも向けられる視線も少なくは無い。
「口を慎みなさい」
目の前のメイド達に、堪えきれずにそう言った。
「新人が何偉そうに」
「黙りなさい。貴方達は、やってはいけない事を犯している。この城で、この国で、誰であろうと幹部皆様の悪口を言う事は許されてない。ましてや、本人の前でなんて不敬にも程がある」
「なによ、聞こえてないなら良いじゃない」
「スマイル様に聞こえずとも、幹部の皆様に、特にスマイル様に忠誠を誓った彼等には、一音逃がさず聞こえているのが、お分かりで？」
阿呆な人達だ。何処で聞かれているかも知らずに吐くなんて。聴覚に優れた魔法を使える人間なら尚更。
「貴方達の顔は覚えました。この件は漏れなく報告いたします」
なんなら、陛下の前に引き摺って行きましょうか。と一歩詰め寄る。逃がす訳にはいかない。使用人としてあるまじき事だ。
「アンタ一人で何ができるの？」
「おや、そちらこそ群れた所で何になるのです？」
十把一絡げでしかないメイド達の影を一つに括る。これで自分の意志では動けない。
「スマイル様、スマイル様に忠誠を誓った使用人の皆様、この件は私が責任を持って報告いたします」
「証言者、必要だったら呼んでください！」
「私も行きます！私の魔法、音声に関する事なので！」
「道、お開けします！いくわよみんな！！」
という訳で、陛下の執務室に引き摺って行った。煩かったので頭と足を逆にして影に鎮めたら静かになった。そして何故かスマイル様まで着いてきた。
第９話 そのメイド、問われる。→←第７話 そのメイド、初仕事。
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紅鴇ﾍﾞﾆﾄｷ@pc垢 - すみれいんさん» コメントありがとうございます！主人も自分も怖がらずに接してくれた＋ご主人に優しいメイド！という認識の結果、めっちゃ懐いちゃったグリューンです。 (8月21日 7時) (
レス) id: 34f7b3b145 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - グリューンが可愛いと思ったのはきっと私だけじゃないと思います！！実際にいて欲しいと思っちゃいました！！ (8月20日 4時) (レス) @page48 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
紅鴇ﾍﾞﾆﾄｷ@pc垢 - みゅんみゅんさん» コメントありがとうございます!!!!凄い、古参読者様だ……!!今回ついに最後の一人と絡みます!! (5月15日 23時) (レス) id: 34f7b3b145 (このIDを非表示/違反報告)
みゅんみゅん(プロフ) - ５話くらいの頃からずっと読ませていただいています！だんだんと夢主との絡みが多くなってきていてワクワクします、更新楽しみにしてます！ (5月14日 14時) (レス) @page30 id: 1c8f9011d0 (このIDを非表示/違反報告)
紅鴇ﾍﾞﾆﾄｷ@端末垢 - ほっとミルクさん» 外見的コンプレックスが今回の要素でもあるので、夢主の立場と性格生い立ちその他を混ぜた結果、包帯ぐるぐるメイドになりました( ´∀`)応援ありがとうございます！ (2023年4月6日 11時) (レス) id: 15e99861f0 (このIDを非表示/違反報告)
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