序章 そのメイド、旅立つ。 ページ1
「A、あなたの将来を奪うかたちになってしまってごめんなさい」
「大丈夫よマム。マムの娘だもの。それに私は、どんな仕事にも就くことはできないから」
自嘲気味に零す娘の頭をそっと撫でる。今日からこの子は、城のメイドとして家を出るのだから。今生の別れではないと思うけども、私が退職してから、あまり良い話を聞かない。
「マム、ちゃんとお手紙を書くわ。私の魔法なら、郵便局を通さなくても大丈夫だから」
「Aの魔法は素敵だもの。胸を張って頂戴」
お古の鞄に最低限の荷物を詰めて、いつものように髪を結う。飾り気の少ない黒いワンピースに、履き慣れたブーツ。白い手袋と、包帯。
「いってきます」
「いってらっしゃい」
遠くなっていく後ろ姿に、指を組んで祈ってしまう。
嗚呼どうか、どうかあの子が、生きて帰ってきますように。願わくばあの子が、彼等の変わってしまった理由に気付けますように。それでも決して、無理はしませんように。
497人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紅鴇ベニトキ@pc垢 - すみれいんさん» コメントありがとうございます!主人も自分も怖がらずに接してくれた+ご主人に優しいメイド!という認識の結果、めっちゃ懐いちゃったグリューンです。 (8月21日 7時) (レス) id: 34f7b3b145 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - グリューンが可愛いと思ったのはきっと私だけじゃないと思います!!実際にいて欲しいと思っちゃいました!! (8月20日 4時) (レス) @page48 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
紅鴇ベニトキ@pc垢 - みゅんみゅんさん» コメントありがとうございます!!!!凄い、古参読者様だ……!!今回ついに最後の一人と絡みます!! (5月15日 23時) (レス) id: 34f7b3b145 (このIDを非表示/違反報告)
みゅんみゅん(プロフ) - 5話くらいの頃からずっと読ませていただいています!だんだんと夢主との絡みが多くなってきていてワクワクします、更新楽しみにしてます! (5月14日 14時) (レス) @page30 id: 1c8f9011d0 (このIDを非表示/違反報告)
紅鴇ベニトキ@端末垢 - ほっとミルクさん» 外見的コンプレックスが今回の要素でもあるので、夢主の立場と性格生い立ちその他を混ぜた結果、包帯ぐるぐるメイドになりました( ´∀`)応援ありがとうございます! (2023年4月6日 11時) (レス) id: 15e99861f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ