降谷さんと女子高生の記憶 (ページ7)

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しばらくしてまた眠りについた。

だが、誰かに髪を撫でられる感覚で目がさめる。

「…降谷さん？？」

降谷「ああ。そうだよ。」

「え…夢……？」

降谷「ハハっ、違うよ。夢じゃない。」

ポロポロ涙が出て来る。
見せたいのは笑顔なのに。

「会いたかった…です。」

降谷「待たせてごめん。ただいま…で合ってる？」

「うん。おかえりなさい！」

やっと笑って言えた。

「お仕事は大丈夫なんですか？？」

降谷「Aさんが気にすることじゃないよ。大丈夫。」

「……病気のこと、聞きましたか？」

降谷「ああ。」

「…よかった。手術するにしても死ぬにしても、その前に降谷さんにもう一度会えて。」

降谷「…手術、受けないのか？」

「…っ……。迷ってるんです。
私は…“安室さん”と過ごした日々も忘れてしまう。
なにより…特別な感情を持ったことも、それがどんな感情だったかも忘れてしまう。それが一番怖い。」

降谷「もう一度好きになればいい。」

「え？」

降谷「何かの本に書いてあった。
一度本気で好きになった相手なら何度出会い直しても好きになると…。

感情を忘れるのが怖いなら、もう一度その感情を持てばいい。
もう一度、俺のことを好きになればいい。
いや、好きにさせるよ。」

“好きにさせる”か。

……その言葉を信じてみよう。

「記憶を忘れる前に聞いておきたいことがあります。」

降谷「なんだ？」

「…今あなたは私のこと、どう思っていますか？」

降谷「…好きだよ。」

「それが聞けてよかったっ…！
…ふふ、ようやく手術を受ける覚悟が決まりました。」

降谷「よかった。」

私は次の日、緊急手術を受けることになった。

その前に…“安室さん”との思い出を全てノートに書いて。
そしてそれを

「もう一度、私があなたを好きになった時にそれを渡してください。」

そう言って降谷さんに預けた。