How about you? ＿2nd

いつき そのいち ページ30

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樹side









翔「なあ樹、」

『なに？』

翔「俺さ、アーティストんなりたいんだよね。」

『へぇ、そうなんだ。』


多分、中学上がる前くらい。
EXPGのレッスン終わりだったかもしれないし、遊びでどっか出かけた時だったかもしれない。

突然、そう言われた。

同じレッスンを受ける周りのやつらは、EXILEさんに憧れてたり、アーティストになりたいって言ってるのがごろごろいたから、まぁ翔平もそのうちの一人なんだってくらいの感想。


翔「でっけぇステージでさ、いっぱい歓声とか浴びて、」

『うん。』

翔「思いっきり踊れたら絶対やべえと思うんだよ！」


目をきらっきらさせて夢を語る翔平。

そうだろう、そうだと思う。
俺も、EXILEになりたいと思って必死こいて特待生になった身だ。
その憧れには大きく頷いた覚えがある。

ただ、周りはこいつも俺も含め皆"特待生"。
正直すげえやつばっかりで。
もっと上手くなりたいと焦り始めていたのも事実。

だけど嬉しそうに話すこいつの横顔は、もう覚悟を決めたみたいな顔をしてた。
なんの疑いもなく、あぁ、こいつはアーティストになるんだ、って。

今思えばガキだなと思うけど、当時はそんな翔平がかっこよく見えたんだ。


『俺もなりたい、アーティスト。』

翔「そっか！樹ダンスうめぇもんな！」

『うん。』

翔「なんかうぜえ。」

『ばか。』

翔「はあ？！」



そんな翔平が、ガキながらなんだか少し遠くに感じて。
笑いあってるその空間が好きで、ずっと続けばいいなと思ってた。


それが恋だなんて、まるで気がつかなかったけど。









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