ぶどうゼリー ページ16
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山彰side
『顔、ぐちゃぐちゃ…』
翔「っ…でずよね、笑」
『無理に笑うな。きしょい。』
翔「あいがわ"らずひどい"…」
これだけ泣いているのに、それでも笑おうとするなんて、ホントきしょいくらいお人好し。
若干強引に上がり込んだものの、部屋に入るのもなんか気が引けて、事故現場とも思しき玄関先に2人並んで座った。
まだこいつは、ズルズルと鼻をすすっている。
『鼻吸いすぎでしょ、ティッシュないの?』
翔「ぞご、あり"まず、」
ビニール袋の中にあった新品のティッシュ箱。
ちょうどティッシュ箱ごと買ってあるなんてタイムリーだな。
それを取り出す時に見えた袋の中身は、まるで家に風邪ひいた人間がいるみたいな内容。
そして何故かゼリーがめっちゃ多い。
…どういうこと?
『ん、ティッシュ。…翔平、この大量のゼリー何?』
翔「あ"ぁ、ぞれ"は、い"つきがゼリー、ずきで、」
『え?樹のため?』
翔「っ!あ、い"や"、」
そういえばいっちゃん、今日のリハ風邪かなんかで休んでたな。
つまりこいつは、見舞いに行った…と?
いや荷物多いな、
まぁ、ゆっくり聞き出せばいいだろう。
しばらく沈黙が続くと、少し治った鼻声で翔平はぽつぽつと喋りだした。
翔「…独り言だと思って、聞いて欲しいです。」
『うん。』
翔「…樹は、昔から、風邪ひいたらずっとゼリー食べてて。」
『うん。』
樹「特に、ぶどうゼリーが好きで。」
『うん。』
翔「ゼリー買っていくのは、俺の役目で。風邪引いたって聞いたら、レッスン終わりに絶対買って行ってたんすよ。勝手に買って行って、勝手に看病して。最初は、樹のお母さんにゼリーの子って覚えられてました、」
『うん。』
翔「…でもやっぱり、ずっとそういう訳にも行かないみたいです。」
『…』
翔「こんな頼りない幼なじみより、綺麗な女の人に看病してもらった方が男は嬉しいですよね…笑」
そう自嘲気味に笑う。
いつもならそんな不気味な笑顔なんか頬を抓っていた所なのに、それが余りにも、苦しそうで。
『…好きだね。』
翔「…もう、あいつがわかんないっすよ。」
ただ俺は、こいつを慰めるしか出来ない。
…いつだって、泣いている理由は樹なんだもん。
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作者の呟き
リンクちゃんと貼れてなかったごめね
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堀愛咲 - 絶対続編書いて下さいね!!!特に山海!! (2021年3月21日 11時) (レス) id: c4d5da031d (このIDを非表示/違反報告)
白湯(プロフ) - トマトさん» ありがとうございます。完結まで行きつけたのは読者の皆様のおかげです…!本当にありがとうございました。明日辺り、しょへさんのお話をあげる予定ですので、楽しみにしていてください♪ (2020年12月15日 22時) (レス) id: d5016db2f4 (このIDを非表示/違反報告)
トマト(プロフ) - 完結まで書いていただきありがとうございます!途中切なすぎて、本当に泣きました…このお話大好きです!!!山彰さん北人さん海青さんしょへいつのその後も全部気になります…お時間ありましたら書いていただけると嬉しいです!! (2020年12月15日 19時) (レス) id: 30ecbafb1c (このIDを非表示/違反報告)
白湯(プロフ) - さーきーさん» ありがとうございます。色々書きます!完結できたのも読者様のおかげです。本当にありがとうございました。もう少し、お付き合い下さい。 (2020年12月13日 8時) (レス) id: d5016db2f4 (このIDを非表示/違反報告)
白湯(プロフ) - ゆあらむさん» ありがとうございます。楽しんでいただけて何よりです、!続編、前向きに検討させていただきますね。その時はまたよろしくお願いします。笑 (2020年12月13日 8時) (レス) id: d5016db2f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白湯 | 作成日時:2020年10月18日 23時