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泣いていい ページ9

.+*・*:.。..。.+
樹side









最初から、少し様子はおかしかった。

それでも、リハの途中でアクロバット失敗したのは流石にビビった。
長くいるからこそ、こいつがこの技を失敗するのを見るのは久しくて、余計に。
とっさに支えられたから良かったけど、あのまま倒れてたら結構危なかった。

それに動揺してなのか、いつもは絶対しないところでミスをし出す翔平。
メンバーも皆"大丈夫だよ、"とか"落ち着いて"って沢山声をかけるけど、全然動きが落ち着いてない。
いや、落ち着きがないのはいつもの事だけどさ。
嫌な予感がしてスタジオに戻ってきてみれば、この通り。


『うまいでしょ、水。』

翔「うめえな、水。」

『なに、スランプ?』

翔「…みたい。」

『そっか。…じゃ、帰ろうか。』

翔「え?」

『いや、え?じゃなくて。今何時だと思ってんの。』


バッと振り返って、うわっと声を漏らす翔平。
まじか、時計も見えてなかったか…


『ごめん。』

翔「え、なんで、」

『もうちょっと早く来てやればよかったな、』


1人で抱え込むタイプの翔平は、普段の反動もあるからこういうのは絶対しんどいはず。
1回家帰った俺が馬鹿だった、

その場にしゃがんで翔平と目線を合わせる。
じっと見つめていると、だんだん翔平の目に水が溜まってきて。


翔「っ、ごめん。」

『…大丈夫。泣いていいよ。』

翔「…っ見んなよ、」

『見ねえよ。』


下唇を噛んで溢れ出すのを堪える翔平の横に腰かけて、頭に手を置いた。

出来ることなら、抱きしめて俺の腕の中で泣いて欲しい、
…そんなことする勇気なんて生憎持ち合わせてないけど。

俺らは、恋人同士ではないから。
振り払われないか心配になったけど、安心させるように優しく撫でれば、呆気なく翔平の目から雫が落ちる。

部屋には、顔は見えないけれど翔平のすすり泣く声だけが暫く響いていた。
相変わらず俺の手は翔平の頭に乗せられたままで、少しの優越感に浸る。


翔「…っし、もう大丈夫。」

『そっか。』

翔「…ありがと。」

『どういたしまして。』


少し名残惜しく感じながら翔平の頭から手を離すと、途端に翔平の横に座ってるのが恥ずかしくなって、勢いよく立ち上がった。


翔「俺、もうちょっと跳んでから帰る。」

『ん、付き合うよ。』

翔「え?」

『いや一人じゃこれ以上無理だろ。』

翔「…お前、優しいな。」


振り返ると翔平が優しく微笑んでいて、ドキリと胸が高鳴った。








゚・*:.。.+*:゚+。.

潰すわけには→←冷たいもの


作者の呟き

2ndへ続く…


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設定タグ:THERAMPAGE , 藤原樹 , BL   
作品ジャンル:恋愛
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苺くぅ - はい!気長に続きをおまちしております。 (2020年10月5日 20時) (レス) id: 079e87463c (このIDを非表示/違反報告)
白湯(プロフ) - 苺くぅさん» ありがとうございます。とても嬉しいですし励みになります。これからもお読み頂けるととても嬉しいです。どうぞご贔屓に。 (2020年9月30日 23時) (レス) id: d5016db2f4 (このIDを非表示/違反報告)
苺くぅ - 面白ろ過ぎます!! (2020年9月30日 18時) (レス) id: 079e87463c (このIDを非表示/違反報告)
白湯(プロフ) - 佐藤 友菜さん» やはりやましょーさんを重要な役に置いてしまう作者です。オンラインライブかっこよすぎたので更新頑張ります (2020年9月21日 6時) (レス) id: d5016db2f4 (このIDを非表示/違反報告)
りー - はい、読み続けます。もうーハマってしまいました(笑) (2020年9月21日 1時) (レス) id: 30b38fa8ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白湯 | 作成日時:2020年6月14日 7時

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