中途半端 ページ3
ﾟ・*:.｡..｡.:+・ﾟﾟ・*:.｡..｡.:+・ﾟ
翔平side
無防備に瞳が閉じられた横顔は、悔しくなるほどに綺麗で。
この席なら田口くんからも死角でちょっとやそっとキスするぐらい、訳ない。
…そんなことしないけど。
別に樹のことが好きだからって、樹とどうなりたいかなんて考えない。
というか、考えなくなった。
俺らが"THE RAMPAGE"になったその日、俺たちが、樹が、夢を追いかける上でこの気持ちはきっと大きな足枷になると悟ったから。
自然な事だった。
でも流石にその瞬間からキッパリ諦められる、とはいかなくて。
だからこうやって、きっと眠たくて動きたくなかっただけだけど、横で眠りこける樹に頬を緩ませるだけ。
本当の気持ちは押し込めて蓋をする。
こんなこと、樹に知られてたまるかよ、
ずっとそうやってやってきた。
それでいい、そうじゃないといけない、
…自分が馬鹿なことぐらい知ってるよ、
気持ちに蓋した、なんてカッコつけときながら、ばっちりほっぺた緩んじゃってるし。
矛盾の仕方えげつなかったな今。
自分で心の中でツッコミを入れていると、窓にぽつ、と音がする。
あー、雨降ってきたか？
シャッと閉められていたカーテンを開けるけど、窓に当たった雫はその一滴だけで、新しい雫が落ちてくることは無い。
結局、いくら待ってもお仲間の雨は現れず、車の速度に負けて一滴の小さな雫は一人後ろへと流れて行った。
なんだか無性に虚しくなってガラス越しに見上げた空は、相変わらず降るか降らないか分からない、中途半端な曇り空。
こういう天気は嫌いだ。自分に嘘ついてる癖に抑えきれてないような、中途半端な俺の心の中みたいで。
はぁ、と小さく溜息をついて、カーテンを1番最後まで閉めてしまう。
変に虚無感に襲われているのは、きっとさっきの黒い雲から溢れてこぼれ落ちてしまった一滴の雫のせい。
これ以上溢れないといいな、なんて誰に向けたか自分でも分からない言葉を心の中で呟いて、俺も目を閉じることにした。
ﾟ・*:.｡..｡.:+・ﾟﾟ・*:.｡..｡.:+・ﾟ
作者の呟き
2ndへ続く…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 340人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「THERAMPAGE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
苺くぅ - はい！気長に続きをおまちしております。 (2020年10月5日 20時) (
レス) id: 079e87463c (このIDを非表示/違反報告)
白湯(プロフ) - 苺くぅさん» ありがとうございます。とても嬉しいですし励みになります。これからもお読み頂けるととても嬉しいです。どうぞご贔屓に。 (2020年9月30日 23時) (レス) id: d5016db2f4 (このIDを非表示/違反報告)
苺くぅ - 面白ろ過ぎます！！ (2020年9月30日 18時) (レス) id: 079e87463c (このIDを非表示/違反報告)
白湯(プロフ) - 佐藤 友菜さん» やはりやましょーさんを重要な役に置いてしまう作者です。オンラインライブかっこよすぎたので更新頑張ります (2020年9月21日 6時) (レス) id: d5016db2f4 (このIDを非表示/違反報告)
りー - はい、読み続けます。もうーハマってしまいました(笑) (2020年9月21日 1時) (レス) id: 30b38fa8ac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白湯 | 作成日時：2020年6月14日 7時
