Tweedia_5 ページ36
「あはははっ、っははは……っ」
次の瞬間喉の奥が詰まりげほげほと咳き込む。「わ、笑いすぎだよっ」と腕の中からAのくぐもったこ声がした。もぞもぞとお腹辺りでAの手がうごめいて、俺の背中へ回される。そのまま、心配するみたいに背すじを撫でてくれる手つきは優しくて、あたたかい。そんなAがもっともっと愛おしくて、ますますぎゅうと力をこめてしまう。
咳き込みが収まれば、はあ、はあ、と軽く走った後みたいに呼吸が上がっていた。Aの手は俺の背中を上下している。Aの髪に埋めた俺の頬はまだ残っているだろうか。緩みすぎて落ちてしまっていないだろうか。いや頬は落ちないだろ。何だよその心配。自分で自分に突っ込んで、また笑いがこみ上げてくる。
ひとしきり落ち着いて腕の力が緩んだのか、Aが俺の腕の間からすぽりと顔を出した。
「もー。何でそんな笑うの」
「あのな。もっとマシな恰好してる時に言ってくれよ。これじゃ全然カッコつかないだろ」
笑み交じりの言葉を文句と受け取ったのかどうかはわからないけど、Aはそれを聞いてぷくっと頬を膨らませる。
「だって真っ先に言いたかったんだもん。起き抜けの愛染くんが一番愛染くんって感じするし」
「はは。何それ、どういう意味だよ」
「そのまんまの意味ですー」
ああ、くそ、腹筋が痛い。弥勒や剛士ほどじゃないにせよ、それなりにちゃんと鍛えてるんだけどな。じんじんと響くのがむしろ心地いい。清々しい。すっきりした。腹の底から笑うのって、こんなにも気持ちよかったっけ。夢から引きずってきたモヤモヤも、笑い声がはるか遠くへ吹き飛ばしてくれたみたいだ。クリアになった頭に残っているのは、ただ、ただ、Aが好きだという感情ばかり。
「だよな。Aならきっと、そうだよな」
「え?」
「Aはさ、どっちかって聞かれたら、高級イタリアンより味噌汁を選ぶタイプだろ?」
「……急に何の話?」
「Aのことが大好きだよって話」
Aはわかりやすいくらいぴたりと固まった。そうそう、こういうところも好きなんだ。反応が可愛くて今すぐキスしたい衝動に駆られるけれど、この体勢じゃ無理そうだ。
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雪村 百合 - まほしさん» いえいえ!私もクドイ事を指摘してしまったかと少し不安だったのですが、そういって頂けて良かったです。 なるほどアニメでは『野目』呼びがあったんですね。私もまだまだ勉強しなければいけませんね…。お返事ありがとうございました! (2019年2月17日 11時) (レス) id: 6a1ddaa5c5 (このIDを非表示/違反報告)
まほし(プロフ) - 雪村 百合さん» 細かなところまで目を通していただけてありがたい限りです。今後もよろしくお願いいたします。 (2019年2月12日 0時) (携帯から) (レス) id: 2cdb666f4d (このIDを非表示/違反報告)
まほし(プロフ) - 雪村 百合さん» コメントありがとうございます。呼び方に関してはネットで纏めてくださっているものを参考にしていますが、アニメでは「野目」呼びがあったようです。愛染くんのことなので時には名前で呼んでいるかもしれませんが。 (2019年2月12日 0時) (携帯から) (レス) id: 2cdb666f4d (このIDを非表示/違反報告)
雪村 百合 - 健十はメンバー全員の事を名前で呼んでたきがします!なので最後の健十のところは『野目』ではなく『龍広』かと…((へんな所にめをつけてしまいすいません…)) (2019年2月11日 14時) (レス) id: 6a1ddaa5c5 (このIDを非表示/違反報告)
トゥンクももたすトゥンク - あしゅは俺じゃくて僕の方がイメージしやすいし安心するwww (2018年11月27日 11時) (レス) id: a10801537f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まほし | 作成日時:2018年6月27日 20時