遊戯未満夜話_4 ページ4
「慣れてなんかないよ。こんなハプニングは流石に初めてだ」
「でも、その、ここの備品とか、熟知してるみたいですし。……恥ずかしそうじゃ、ないし」
する、と布団が僅かに持っていかれた感触がした。おそらく彼女が丸まったからだろうと直感する。
「まあ、初めてではないかな」
「です、よね」
「何、初めての方が良かった？」
からかうような声をかけると、「んっ」と背後から変な声が上がったのが聞こえた。くすくすと笑いを噛み殺していたのがバレたのか、彼女は少し怒ったような口調になる。
「へ、変なこと言わないでください」
「ごめんごめん。君の反応がいちいち可愛いから、つい」
「か、……っ」
する、また布団が引っ張られる感触。今度は頭ごとすっぽり潜り込みでもしたんだろうか。さっきクローゼットの扉から半分だけ見えた真っ赤な表情を思い出す。きっと今もあんな顔をしていることだろう。
「……あ、愛染さんはそれこそ、可愛い女の子なんて見飽きてるくせに」
「そんなことないさ。女の子はいつだって可愛いものだよ。今の君みたいにね？」
「〜〜〜っ」
声にならない声が聞こえ、俺の上から布団が勢いよくはぎ取られる。というか、彼女が強く引っ張り向こうへ持っていかれてしまったみたいだ。アイドルだとか健康がどうとか言ってたのに。
まあ、空調が整っているし、お腹さえ出さなければそうそう冷えはしないだろうけど。からかいすぎたのは俺だし、彼女が落ち着いたら布団を返してもらえばいい。
そう思って、それ以上言葉を続けることなく、また目を閉じた、その時。
「ずるい、です」
「ん？」
ふかふかの布団に阻まれているのか、少しくぐもった声が俺の耳に届いた。俺は目を閉じたまま、意識だけ彼女へと向ける。
「こんな、とこ、来るはずじゃなかった、のに。こ、こんなはずじゃ、なかったのに」
その声は少し震えていて、まるで泣きそうで、何だか怒っているようで。
彼女が体勢を直した音だろうか。ぎしりと鳴いたスプリングが、耳障りなほどに大きく響く。
俺は言葉を挟まない。まあ、後悔も混乱も仕方がない。それでも、流されたのは君自身だ。俺は決して、無理強いはしてないつもりだよ？ たった一晩の出来事だから、文句は黙って聞き流そうと思っていた。朝になれば、全部おしまい。この夜は無かったことにされたって構わない出来事だ。
だから俺は黙ったまま、言葉を挟むことは無い。
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雪村 百合 - まほしさん» いえいえ！私もクドイ事を指摘してしまったかと少し不安だったのですが、そういって頂けて良かったです。 なるほどアニメでは『野目』呼びがあったんですね。私もまだまだ勉強しなければいけませんね…。お返事ありがとうございました！ (2019年2月17日 11時) (
レス) id: 6a1ddaa5c5 (このIDを非表示/違反報告)
まほし(プロフ) - 雪村 百合さん» 細かなところまで目を通していただけてありがたい限りです。今後もよろしくお願いいたします。 (2019年2月12日 0時) (携帯から) (レス) id: 2cdb666f4d (このIDを非表示/違反報告)
まほし(プロフ) - 雪村 百合さん» コメントありがとうございます。呼び方に関してはネットで纏めてくださっているものを参考にしていますが、アニメでは「野目」呼びがあったようです。愛染くんのことなので時には名前で呼んでいるかもしれませんが。 (2019年2月12日 0時) (携帯から) (レス) id: 2cdb666f4d (このIDを非表示/違反報告)
雪村 百合 - 健十はメンバー全員の事を名前で呼んでたきがします！なので最後の健十のところは『野目』ではなく『龍広』かと…((へんな所にめをつけてしまいすいません…)) (2019年2月11日 14時) (レス) id: 6a1ddaa5c5 (このIDを非表示/違反報告)
トゥンクももたすトゥンク - あしゅは俺じゃくて僕の方がイメージしやすいし安心するwww (2018年11月27日 11時) (レス) id: a10801537f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まほし | 作成日時：2018年6月27日 20時
