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やきもちパズル_10 ページ22

遙日くんはうまい言い訳が見つからなかったのか、さらに笑みを広げる。

「その、Aは? 忘れもんでもした?」
「ううん。わたしは……遙日くんを、探しに」
「……俺?」

 こく、とわたしはひとつ頷く。今だ、と思って、小さく息を吸い込んだ。

「わたしね、ここ最近、遙日くんの様子がなんかおかしいなって、気になってたの」
「お、おかしくなんてないよ? ほらこの通り元気も元気、超元気だし。こけちったけど」
「ほんとに?」

 ほんとほんと、と頷いてみせる遙日くんはやっぱり笑顔だったけど、今更誤魔化されたりなんかしない。
 思い出す。スタジオの真ん中で動きを止め、タオルに向かって悔しそうに呟いた、あの姿。

「……殿くんには勝てない、って言ってたよね」
「っ!」

 遙日くんの瞳が再び形を変え、真ん丸に開かれる。けどそれも一瞬で、また口元に笑みが浮かんできた。今度は取り繕った笑顔じゃなくて、少し苦い色をしているように見えたんだ。

「あっちゃあ、聞こえてたか。カッコわり」
「盗み聞きするつもりじゃ、なかったんだけど」
「……Aはさ、何で俺がここにいるってわかったの?」
「え? ……えっと、唯月くんが、遙日くんはきっとここにいるって、教えてくれたから」
「唯月? あー、そっかあ……」

 ああ、うん。そっか。遙日くんはこめかみを指で掻いて、何か納得するような声を出す。それから足を立てて引き寄せ、膝を抱きあごをちょこんと乗せた。

「ホンット、唯月には敵わないなあ。唯月ならバレてても黙ってくれるだろうって思ってたけど、うん、そっか。……うん」

 呟きと共に視線を床へ落とし、あははと笑う遙日くん。

「……話せ、ってことなんだろうな」
「え?」
「あのね、俺ね。多分、トノにやきもち妬いてたんだと思う」

 やきもち。遙日くんの口から出てきたその言葉が、ストンとわたしの中へと入ってきた。入ってきてから、どういう意味だろうかと考え始める。だけど既に、頭の中に散らばっていたジグソーパズルのピースが、ぴしりと一つ枠の中へと嵌まった様な、そんな感覚が押し寄せた。

「おかしいよね、仲間なのにやきもちなんてさ」
「それって、どういう」
「今日のダンス練習で、トノ、あの難しい振り付けをすぐマスターしてたでしょ?」

 うん、と頷く。遙日くんはやっぱり顔を上げず、話を続ける。

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設定タグ:B-project , 夢小説 , 短編集   
作品ジャンル:アニメ
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雪村 百合 - まほしさん» いえいえ!私もクドイ事を指摘してしまったかと少し不安だったのですが、そういって頂けて良かったです。 なるほどアニメでは『野目』呼びがあったんですね。私もまだまだ勉強しなければいけませんね…。お返事ありがとうございました! (2019年2月17日 11時) (レス) id: 6a1ddaa5c5 (このIDを非表示/違反報告)
まほし(プロフ) - 雪村 百合さん» 細かなところまで目を通していただけてありがたい限りです。今後もよろしくお願いいたします。 (2019年2月12日 0時) (携帯から) (レス) id: 2cdb666f4d (このIDを非表示/違反報告)
まほし(プロフ) - 雪村 百合さん» コメントありがとうございます。呼び方に関してはネットで纏めてくださっているものを参考にしていますが、アニメでは「野目」呼びがあったようです。愛染くんのことなので時には名前で呼んでいるかもしれませんが。 (2019年2月12日 0時) (携帯から) (レス) id: 2cdb666f4d (このIDを非表示/違反報告)
雪村 百合 - 健十はメンバー全員の事を名前で呼んでたきがします!なので最後の健十のところは『野目』ではなく『龍広』かと…((へんな所にめをつけてしまいすいません…)) (2019年2月11日 14時) (レス) id: 6a1ddaa5c5 (このIDを非表示/違反報告)
トゥンクももたすトゥンク - あしゅは俺じゃくて僕の方がイメージしやすいし安心するwww (2018年11月27日 11時) (レス) id: a10801537f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほし | 作成日時:2018年6月27日 20時

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