やきもちパズル_8 ページ20
普段の笑顔ではしゃぐ姿からは想像もできないような、集中した表情。指の先まで意識を向けた、しなやかでキレのある動き。
自分が何をしに来たのかすっかり忘れていた。何だかまるで、遙日くんのステージを特等席から独り占めしているような、そんな高揚感すら覚える。贅沢だ、と思った。ずっとずっと見ていたいくらい。ドキドキが逸る。すぐには止まりそうもないほどに。
だけど遙日くんの動きは途中でぴたりとストップした。腰に提げていたタオルを抜き取り顔の汗を拭いながら荒い呼吸を整えている。あれ、どうしたんだろう。最後まで踊らないのかな。
遙日くんが踊るのをやめたところで、わたしもハッと自分が何をしに来たのか思い出した。ダンスに見惚れてる場合じゃない。問題は、どうしてわざわざ戻って来て練習の続きをしているのか、だ。
だけど、このまま姿を見せるのはなんだか少し躊躇われた。わたし、ここで出て行ってもいいんだろうか？ 遙日くんはきっと、誰にもナイショで練習しようと思って戻って来たんだろうから。わたしが中へ入れば、それを邪魔することになるだろうから。
……ううん。わたしは小さく首を振る。それでも遙日くんと話さなきゃ。遙日くんの様子がおかしい理由はきっと本人に聞かなくちゃわからない。
よし、と弾みを付けて扉を押そうとしたその時、はあ、と遙日くんの口から一際大きいため息が漏れて、
「こんなんじゃ、トノには勝てないよね」
「……え？」
タオル越しにくぐもってはいたものの、その呟きは十分わたしの耳にまで届いた。反射的に声を上げて、……それからすぐに後悔する。ぱっと手で口を覆ってももう遅い。
遙日くんは弾かれたようにびくりと肩を跳ねさせ、顔を上げる。こちらを、向く。
ばちりと、視線が合った。その瞬間、持っていたタオルがふわりと宙を舞ったのが、視界の端に映ったんだ。
「……A？」
「あ、えっと、あの」
タオルは汗の散ったフローリングへと静かに落ちる。だけど遙日くんはタオルが手元を離れたことにすら気づいていないようだった。
真ん丸になったのは、深いブルーの瞳だけじゃない。あんぐり開いた口からはわたしの名前が聞こえた。ば、バレた。見つかった。別に悪いことしていたわけじゃないけれど、気持ちはすっかり焦ってしまって、押すにも引くにも動けない。
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雪村 百合 - まほしさん» いえいえ！私もクドイ事を指摘してしまったかと少し不安だったのですが、そういって頂けて良かったです。 なるほどアニメでは『野目』呼びがあったんですね。私もまだまだ勉強しなければいけませんね…。お返事ありがとうございました！ (2019年2月17日 11時) (
レス) id: 6a1ddaa5c5 (このIDを非表示/違反報告)
まほし(プロフ) - 雪村 百合さん» 細かなところまで目を通していただけてありがたい限りです。今後もよろしくお願いいたします。 (2019年2月12日 0時) (携帯から) (レス) id: 2cdb666f4d (このIDを非表示/違反報告)
まほし(プロフ) - 雪村 百合さん» コメントありがとうございます。呼び方に関してはネットで纏めてくださっているものを参考にしていますが、アニメでは「野目」呼びがあったようです。愛染くんのことなので時には名前で呼んでいるかもしれませんが。 (2019年2月12日 0時) (携帯から) (レス) id: 2cdb666f4d (このIDを非表示/違反報告)
雪村 百合 - 健十はメンバー全員の事を名前で呼んでたきがします！なので最後の健十のところは『野目』ではなく『龍広』かと…((へんな所にめをつけてしまいすいません…)) (2019年2月11日 14時) (レス) id: 6a1ddaa5c5 (このIDを非表示/違反報告)
トゥンクももたすトゥンク - あしゅは俺じゃくて僕の方がイメージしやすいし安心するwww (2018年11月27日 11時) (レス) id: a10801537f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まほし | 作成日時：2018年6月27日 20時
