《B-PROJECT》みじかいゆめ9

やきもちパズル_4 ページ16

見えた、んだけど。次の瞬間にはいつもの明るい表情で唇尖らせて、

「明謙だけずるい！ 俺にも教えてよ、トノ〜」
「遙日はダンス得意でしょ。俺から教えることとかあるわけ？」
「それがさ、ここのステップがどうにもうまくいかなくて」

　うーん。やっぱり、気のせいなのかな。殿くんの前で自分がつまずいたステップを見せる遙日くんは、どこからどう見ても普段通りだ。
　ちらりと腕時計を見る。みんな、ここからもうひと頑張りするんだろう。その前に少し水分補給を挟んだ方が良さそうだと思って、わたしは持ってきたスポーツドリンクを抱えて、四人に声をかけた。

＊＊＊

　殿くんのおかげもあって、四人全員が今日教えてもらったステップで踊れるようになった。
　「まだまだ下手だけど」と唯月くんは言うけれど、後ろから見ていた感じ、みんなすごくかっこよかった。と感想を告げれば「身内の贔屓目って奴でしょ、それ」なんて殿くんから肩をすくめられる。まだみんな、納得できるレベルには到達してないってことなのかな。
　レッスンを終え、地下スタジオを出る。たまにTHRIVEの金城くんが別のスタジオ使ってたりするんだけど、今日は遭遇しなかった。

「ふあーっ、お腹空いたねえ」
「うん。踊ってるときは全然感じなかったのに、不思議だよね」
「夜ごはん、どうする？」
「久しぶりに食べに行くのもいいんじゃない？ 夜だしカロリーは考えた方がいいと思うけど」

　ぐぐっと大きく伸びをしながらマンションのロビーへ続く階段を上がる四人の後に、わたしも続いた。

「そっか、それもいいね。それだとAも一緒にご飯食べれるし」
「え、わたしも付いて行っていいの？」
「ここでダメって言うわけないでしょ」
「もちろん」
「うんうん。遅くまで付き合ってくれたし、おごってもいいくらいだよ」
「い、いや、さすがにそれは……でも一緒にご飯食べられるのは、嬉しいな」

　まさかこんな流れになるなんて。殿くんと唯月くんもそれぞれ頷いてくれた。なんせ一人暮らしなもので、誰かと一緒にご飯を食べるなんて滅多に無いことだ。嬉しくて、へへ、と笑みが浮かんでくる。この四人と食べるご飯は、何だって美味しいだろうなあって思った。

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